人間社会という山

山に向かって叫べばこだまが返ってくる。大きく叫べば大きなこだま。長く叫べば長いこだま。叫んだ内容と異なるこだまが返ってくることは絶対にない。人間社会もこれと同じ構造で出来ている。ここさえ理解できていれば人間社会で生きることは簡単なのだが、多くの人はなぜかここを認めようとしない。

小さな声で叫んでおきながらこだまが小さいと文句を言う。短く叫んでおきながらなぜもっと長く丁寧に返事をしないのかと怒る。叫んだ内容と正反対のこだまを求める人までいる。「ふざけるな!」と山で怒っている人を見たことはないのだが、人間社会では頻繁にこういう人を見かけるから不思議である。

人に不親切にしておきながら自分には親切な態度を要求したり。自分の意見を伝えずに相手の理解を求めたり。会社に貢献せず昇給を求める労働者も、事業を変えずに利益を増やそうとする経営者も、安い商品を買っておきながら過度なサービスを要求する顧客も、根っこはすべて同じである。

そんな反応が起こり得るはずがない。「やっほー」と叫んで「あなたは天才だ。イケメンだ」と叫び返してくれる山はない。当たり前のことである。人間社会のルールはとてもシンプルだ。自分のアクションが正確にリターンとして返ってくる。背が低いとか、声が出にくいとか、足が悪いとか、関係ないのである。

背が低いなら台に乗ればいい。声が出にくいなら拡声器を使えばいい。足が悪いならケーブルカーに乗ればいい。誰もそれを咎めたりはしない。やり方は自由だ。ゲームが好きならゲームで稼ぐのもいい。勉強が得意ならそれを活かして生きていけばいい。大事なのは人間社会という山の法則を理解すること。

人間社会は人が積み重なってできている山だ。人がどう反応するかは人である自分にもわかるはず。親切にされたら嬉しい。邪険にされたら腹が立つ。楽しいことや得することが好きで退屈なことや損することは嫌い。実にわかりやすい反応である。欲しいものがあるのならそれを山に投げればいい。

親切にして欲しいなら親切にする。稼ぎたいなら相手に稼がせる。特別扱いして欲しいならたくさんお金を払う。簡単なことである。ゲームばかりやるから稼げないのではない。勉強ができるから稼げるのでもない。法則に則っているから正しいリターンが返ってくる。ただそれだけの話なのである。
 

 

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