【コラムvol.48】
これが単純労働だ。
と決めつける単純な人々。

「ハッテンボールを、投げる。」vol.48  執筆/伊藤英紀


「単純労働」という言葉は昔からあるが、近ごろとみにメディアなどで頻出している。背景には、2つの議論がにわかに活発化したことがある。

❶外国人労働者の受け入れ政策における対象業種や職種の議論。❷AIに奪い取られる仕事とは何か、というAI失業に関する議論。

これらの議論にまつわる不透明感と不安感が、さらに世の中をザワつかせた結果、「単純労働」という言葉の流通量がふくらんだのだろう。

日経新聞によると、政府が想定している単純労働分野は、農業、介護、外食、建設、造船、宿泊など14業種だ。

「ちがうだろ!」と全面的に異議をとなえるつもりはない。確かに、その分野の仕事にも単純労働は存在するからだ。

しかし単純労働は、政府が想定していない専門頭脳分野にも存在しますよと、そこそこの音量で言ってはおきたい。

今回のコラムは外国人労働者問題について、という趣旨ではありません。「知識産業化」といわれる時代の、仕事の区分について、です。

「単純労働分野か。専門労働分野か」という区分より、「ナレッジ&スキルワーカーか。マニュアルワーカーか」という区分のほうが、僕はまだだいぶわかりやすいのではないか、と思います。

なぜなら、単純労働分野とされる農業や介護にだって、比較的簡単と思われがちなルートセールスにだって、ナレッジ&スキルワーカーはかなりの数いるからです。

そして同様に、専門頭脳分野とされるITや金融、付加価値セールス、クリエイティブ、コンサルなど高度とされる分野にも、マニュアルワーカーはかなりの数いるからです。

そんなのは自分のまわりを見渡せばすぐわかりますよね。

要は、創意工夫をものすごくするやつ、言われたことだけしかやらないやつってことで、その2つのタイプは、どこの分野にだって必ずいるじゃないですか。

単純な分野か、専門分野かって切り分けで、その2つのタイプが分かれるわけでは全然ない。

難度の高い資格を取得している「専門頭脳型職種」の人の中にも、なにも考えずに改善もせずに、いちおう高度といわれる仕事を、ただ機械的に繰り返すだけの“反復くん”はかなりいる。

単純とレッテルを貼られた介護業界の人は、相当頭に来ていると思いますが、介護業界にだって、要介護者や介護家族とのコミュニケーションにおいて心理学を学んで応用している人はいる。

入浴や排せつや着替えなどの肉体的な介添え技術において、長い積み重ねと経験がないと身につかない高度なスキルを持っている人もいる。

職場の仕組みづくり、職員のローテ決めやメンタルケアで、見事なマネジメント手腕を発揮する人もいる。

要は、創意工夫や改善思考へのやる気と能力があるかないか。どんな専門頭脳業界だろうと、それがない人は結局、マニュアルワーカーになっていくしかない。

AIが奪うのは、単純労働分野の仕事じゃない。高度専門分野の仕事であっても、AIに入力しやすいマニュアルワークは、居場所を奪われてしまう可能性が高い、ということじゃないですか。

社長は、まだ、自社を知らない。
社長は、自社の魅力や可能性を、あんがい知らない。30年、中小企業を見てきて、つくづく思う。社長のお考え、事業の過去・現在・未来。伊藤英紀と若いのがパーティーを組み、ワイワイ質問したおす2時間半。会社丸ごと、棚おろしです。棚からボタモチのように、気づかなかった自社の魅力がドサリと手に。
ブランド・理念経営・事業戦略・組織強化のみなもとを、再発見・再定義するパーティーに、ぜひ。

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