原因はいつも後付け 第18回 「何でこんなに単価が悪いのか?」

// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

《第18回》何でこんなに単価が悪いのか?

「何でこんなに単価が悪いのか。」
これは、1号店を開業してすぐに私が直面した現実。

単価の伸び悩みは、業績悪化に直結する重要な課題。
にもかかわらず、私のお店は想定していた単価の半分程度しか、お客さんからご注文をいただけなかったのです。

そして現在も、店舗を経営しているオーナーから同じような相談を受ける事があります。
単価が伸びないという結果を招いている原因は、一体どこにあるのでしょうか?


単価が伸びないと言う現実に直面した時に多くの人が考えてしまいがちな選択。
それが、商品ラインナップを増やすこと。

ただ結論を先に書いてしまうと、これをやってもほとんど効果はないでしょう。

なぜか?
それは、私が実際にやってみたけど、全く効果がなかったから。
私と同じように考えて、試したけど効果がなかった店舗を見てきたから。
そして、結果的に単価が伸びなかった原因は他にあったから。

では、単価が伸びない原因はどこにあるのか?
実はこれ、店舗型とは違うビジネスを考えてみると、あるヒントが見えてきます。

例えば、お店を開業すると必ずやってくる、色んな業種の営業の人たち。
彼らが商品を売り込むために持ってくるもの。
それが、営業ツール。

そこには、商品を買うべき理由やその商品がどんな課題を解決してくれるのかと言った「商品を売るため工夫」盛り込まれています。

では、お店で考えた時の営業ツールとは何なのか?
それが、お店で毎日使っている「メニュー」なのです。

開業当時、私のお店のメニューには、商品名と価格しか載せていませんでした。
私がこのメニューに疑問を感じなかった理由。

それは、そんなメニューでも「そこそこ」売れてしまっていたから。

単価が安い商品は、単価が高いものに比べて購入の障壁が低いため、工夫のないメニューでも、そこそこ売れてしまうのです。そして、そこそこ売れてしまうからこそ、メニューの重要性に気づきにくいのです。

「単価が伸びない」という結果を招いている原因。

それは、お店にとって重要な営業ツールであるメニューが持つ本当の価値に気づいていないからではないでしょうか?

お店の強みの商品は何なのか?
この商品を注文するとどんな体験ができるのか?
どんなお客さんにこの商品がピッタリなのか?

どんなにスマートでカッコいいメニューを作っても、こう言った営業の要素が盛り込まれていないメニューでは単価は伸びません。

単価が伸びないと悩んでいる飲食店の多くに欠けているのは、「メニューに営業してもらう」という意識。

メニューが営業の役割をしていないお店は、営業する人がいない会社のようなもの。
誰も営業しない限り、どんなに商品を増やしても単価は伸びようがないのです。

著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計28店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。

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