原因はいつも後付け 第29回 「売れそうなものを売る、という過ち」

// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

《第29回》売れそうなものを売る、という過ち

商売をはじめる時に必ず決めなければいけない決定事項の一つ。
「お客さんに何を売るのか?」

商売をする以上、誰だって自分のお店が繁盛することを願うもの。
そして、その願いを叶えようとした結果、オーナーの多くが「ある選択」をするのです。

それが、「売れそうなものを売る」という選択。

自分で悩んで商品を決めるよりも、すでに周りで売れているものを売った方が確実という訳です。

一見、堅実そうなこの選択。
皆さんはこの選択をどう思われますか?


「売れそうなものを売る」という堅実そうな選択をしたらどうなるのか?

この疑問に対し、これまで私がお店を経営してきた経験と、様々なオーナーを見てきて分かったこと。
それが「売れそうなものを売るお店は繁盛しない」という事実。

「商品は売れれば売れるほど良い。」
「だから売れそうな商品を売る。」

こう考えて商品を決めたにも関わらず、売れないお店になってしまうのはなぜなのか?

それは、売れそうという理由で決めた商品には自分の思い入れがないから。

商品の魅力を伝えるためには、その魅力を言語化する必要があり、その商品をより魅力的にするためには日々、質の向上に取り組む必要があります。

でも、単純に「売れそうだから売る」という選択をするお店には、こんな一見当たり前のように思える事ができないのです。だって、本当にその商品に魅力を感じている訳じゃないのですから。

「そんなバカなやついるのか?」と思う方もいらっしゃるかも知れません。

でも、いるんです。
何を隠そう、開業したばかりの頃の私がそうでしたから。

そして、この過ちは何も私だけに限った話ではないと思うのです。

「飲食店は楽して儲かりそう。」
「儲かりそうな事業を見つけたからやってみよう。」

こういった考えで儲けを増やそうとすることも、結局は「売れそうなものを売る」のと同じ思考な訳です。

「じゃあ、どうすれば良いのか?」
「繁盛しているお店は一体何を売っているのか?」

この疑問に対する答え。
それが、「自分が買いたいものを売る」という選択。

自分が買いたくなるものこそが、本当に好きなものであり、好きだからこそ気持ちのこもった説明ができ、日々質の向上にも力を注げるのではないでしょうか?

「商品が売れない」という結果に悩んでいるオーナーに見えてくる原因。

それが、「他人に売れそうなもの」を売ろうとしている事自体であり、その原因となっている商品の決め方を、「自分が買いたいもの」を売るというシンプルな思考に変えない限り、商品を売ることなんて出来ないと思うのです。

「売れそうなものを売る」のではなく、「買いたいものを売る」。
言葉にすれば単純ですが、これが売れるお店になるための必要条件なのだと思います。

 

著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計28店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。

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