// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 // |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
《第66回》人脈という言葉に感じる違和感
私は「人脈」という言葉がどうにも好きになれません。
いや、もう少し正確に言うのなら、私は商売において「人脈という言葉を使う人」が苦手なのだと思います。
こうした感情を抱くのは、何も私だけじゃないような気がします。
必死になって人脈を増やそうとしている人。
名刺交換して少し話しただけで自分の人脈にしてしまう人。
人脈の広さをひけらかして自分の信用に使おうとする人。
なぜ、私はこういった人たちに苦手意識があるのか?
もしかしたら、それは私があまりにも人脈がないからかも知れません、笑。
ただ恐らく、それ以上に苦手意識を感じる原因は、人脈という言葉を使う人の多くが、自分のテイクを目的に使っている場合がほとんどだからだと思うのです。
《人脈とは何なのか?》
商売において「人脈」という言葉を口にする人にとっての人脈の意味。
それは、自分がテイクをする対象、もしくはテイクをするために利用する対象という意味に思えてなりません。
これは私からしてみれば、勝手に作られた「見込み客リスト」に他ならず、そんな人脈ならお願いしてでもその人脈から外して欲しいとすら感じるのです。
じゃあ、私が考える人脈とは何なのか?
それは、自分がギブしたいと思える相手。
相手が困っている時ほど協力したくなる関係性のこと。
テイクをしようとする人脈とギブしたいと感じる人脈。
もちろん、言葉をどう解釈するかは個人の自由なので、どちらが正解なんて決めることはできません。ただ、この2つの人脈を見分ける分かりやすい方法があるとするなら、それはギブしたいと感じる人脈はわざわざ人脈なんていう言葉を口にはしないと言うこと。
これは逆を返して言うのなら、人脈という言葉を使っている時点で、その人は何かしらのテイクをしようとしていると、自ら宣言していることに他ならないのではないでしょうか。
《人脈という言葉が人脈を遠ざける》
人脈という言葉を使って、人に何かを売り込もうとしたり、自分の信用を上げるために他人の名前を利用すること。
人脈という言葉を使う人にとっては、こうした行為こそが自分のテイクに繋がると考えているのかも知れません。でも、その行為は「ギブすることが人脈」と考える人から見れば、他人を安易に自分の儲けのために利用する人にしか見えず、人脈という言葉を使えば使うほど、その人の周りからは人が離れていくような気がしてなりません。
そう考えるのであれば、私たちが力を注ぐべきなのは他人を利用するために人脈を広げようとすることではなく、自分自身が誰かの役に立てるよう自分の商売で力をつけることなのではないでしょうか。
人脈という言葉に感じる違和感。
それは人脈とは本来、誰かに何かを期待して言葉に出すものではないと言うこと。
つまり、言葉として口から出てきた時点で、それは本当の人脈ではなく、表に言葉としては出てこない、お互いが依存しない自立し合った上での信頼関係こそが本当の人脈だと、私は思うのです。
誰かの役に立つためには、自分の商売で力をつけること。
お互いが自立しあえばこそ築けるのが本当の人脈なのではないでしょうか。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/