泉一也の『日本人の取扱説明書』第118回「鬼の国」

泉一也の『日本人の取扱説明書』第118回「鬼の国」
著者:泉一也

このコラムについて

日本でビジネスを行う。それは「日本人相手に物やサービスを売る」という事。日本人を知らずして、この国でのビジネスは成功しません。知ってそうで、みんな知らない、日本人のこと。歴史を読み解き、科学を駆使し、日本人とは何か?を私、泉一也が解き明かします。

子供の遊びキングは昔も今も変わらず鬼ごっこ。手軽でルールも簡単。色オニや高オニなどバリエーションも豊か。鬼ごっこはなぜこうも人気があるのだろう。

鬼を西洋風にすると悪魔になるが、この言葉を鬼ごっこに適用してみると「悪魔ごっこ」になる。全然違う遊びになりそうだ。悪魔役になれば自由に人に罰を与えることができる・・そんな陰険な遊びがイメージされる。鬼と悪魔はまるで印象が違う。ちなみに鬼ごっこは英語でplaying tagという。

鬼ごっこには明るさを感じる。大人になってからはもっぱら「鬼ごろし」だが、この焼酎にはごっつさとキリリ感がある。屋根にとりつけられた鬼瓦は「家を守る」イメージがある。鬼にはダークサイドだけではない「陽」があるのだ。

鬼と悪魔の違い。それは無邪気さだろう。鬼は子供の無邪気さを持っている。ダークサイドの中にある無邪気という「陽」。これが鬼の魅力であり、鬼文化の日本人が内面に持つ鬼の正体なのだ。

「あの先輩ってホント鬼っすよね」

理不尽な厳しさの中にある先輩の無邪気さ。そこに魅力があるから、先輩から離れない。

大人気漫画「鬼滅の刃」では、鬼が心の奥に閉ざした無邪気さに氣づき、成仏していく。心の奥にある無邪気さが陽転のトリガーだが、場活マニアの方々には「陰中の陽」といえばすぐにわかるだろう。では陰中の陽を氣付かせる“もの”とは何か。

それは「懸命なる献身」。鬼滅の刃の主人公、竈門炭治郎は懸命なる献身で生きる。妹を救うため、仲間の思いを遂げるため、仲間の幸せを守るため、その全身全霊の献身が、鬼の中に眠った無邪気さを呼び覚ます。

鬼といえば赤鬼と青鬼。

青鬼の懸命なる献身で赤鬼が陽転した物語を知っているだろうか。「泣いた赤鬼」という物語だが、簡単にあらすじを。

青鬼は、村人から嫌われ者のレッテルを貼られた赤鬼のため、自分が悪役となることで、赤鬼の印象を良くする作戦を実行し成功する。赤鬼は村人たちと仲良くなり、楽しく暮らせるようなった。しかし青鬼は赤鬼の前から姿を消してしまう。青鬼は嫌われ者のレッテルを変わりに譲り受け、その地から去ったのだ。

この青鬼こそ懸命なる献身。

ただの献身でない。命懸けの献身。そこには「してあげてる」といった邪気は一切ない。無邪気の境地である。

「泉さんって、ホント青鬼っすよね」

と言われたら、場活師として一人前。今はまだ青みがかった赤鬼だろう。

そういえば、楽器箱の中に入って日本からレバノンに逃れた鬼の形相の経営者がいた。もしや彼は青鬼だったのではないか。嫌われ者のレッテルを変わりに背負って日本から飛び立ったのか。それとも、彼こそが悪魔だったのだろうか。

青鬼か悪魔かは、残された赤鬼たちが幸せであるかどうかでわかるだろう。

著者情報

泉 一也

(株)場活堂 代表取締役。

1973年、兵庫県神戸市生まれ。
京都大学工学部土木工学科卒業。

「現場と実践」 にこだわりを持ち、300社以上の企業コーチングの経験から生み出された、人、組織が潜在的に持つやる気と能力を引き出す実践理論に東洋哲学(儒教、禅)、心理学、コーチング、教育学などを加えて『場活』として提唱。特にクライアントの現場に、『ガチンコ精神』で深く入り込み、人と組織の潜在的な力を引き出しながら組織全体の風土を変化させ、業績向上に導くことにこだわる。
趣味は、国内外の変人を発掘し、図鑑にすること。

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