7年前に採用ビジネスやめた安田佳生と、今年に入って採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
第86回「いちばん悪かったのは誰?」
年末年始の話になりますが、カルロス・ゴーンさん。レバノンに行っちゃいましたね。
逃げましたね。
保釈金は没収されましたけど。なんと15億円ですよ。
僕からしたら「ふてえ野郎だ」って感じ。ただそれだけ。
日本の司法制度の問題もあるみたいですよ。
それはあると思います。ただ今回はそれとは別の話。
やっぱり逃げたゴーンが悪いと?
はっきりしておかなきゃいけないですけど、ゴーンは“クロ”です。
クロですか。
はい。僕の見解ではクロ。だって明らかに特別背任ですもん。
確定ですか?
だって会社の金で「私的な投資の穴埋め」やってたんですよ。
中小企業のオーナー社長だったら普通にやってそうですけど。
(笑)いやいや。一応上場企業なんで。
まあ、上場企業では許されないですよね。パブリックカンパニーなので。
国際的な企業ですよ。日産は。
そうですね。
要するに、彼は犯罪を犯したわけで、それをこれからどうやって裁判で立証するか。
立証できますか?
たぶん、もう難しいと思います。本人が海外に逃げちゃってるので。
「公正な裁判が受けられないから逃げた」って、本人は言ってました。
いやいや(笑)
でも実際「日本の司法制度には問題がある」って、ずっと言われてるじゃないですか。
だから、それとは別問題ですよ。今回のは。
レバノンで開いた記者会見は、見ましたか?
見ましたよ。言い訳ばっかり。ひたすら「俺は無罪なんだ!」って主張ばっかり。
そうでしたね。「日産幹部の陰謀だ!」とか「謀反だ」みたいな。
僕には「この俺様におまえら何やったんだ!」「俺はゴーン様だ。ゴーン様にこんなひどい仕打ちをしやがって!」としか聞こえなかったです。
確かに。
もっとロジカルに「法律の適用がだめだ」とか「境遇が人質司法なんだ」ってところで戦うのかなと思いきや、自分の感情だけ。
ちょっと話を分けてもいいですか。「日産との揉め事」と「日本の司法制度」と。
はい。
制度に関していうと、弁護士を付けずに事情聴取を繰り返したり。1か月近くずっと拘留されたり。毎日毎日朝から晩まで「自白するまで帰さないぞ」って言われ続けたり。
まあ、普通の人間は心が折れますよ。
ですよね。あのホリエモンでさえも「心が折れそうになった」って言ってました。
日本の刑事司法のいちばんの問題は「刑事訴訟法246条」の起訴独占主義。要するに検察官が決めるんですよ。起訴するかどうかを。
そこが問題だと。
そこにすべての問題がある。「長時間取り調べ」っていう問題も確かにありますけど。
なるほど。
検察の側にも改善すべきポイントはたくさんある。だけど今回のゴーン問題の本質はそこじゃない。基本的にクロなんだから。
ゴーンさんは「日本で裁判やったら負ける」と思ってたんですかね?
弁護団と話せば話すほど「これはだめだな」と思ったでしょうね。
絶対に負けると。
「たぶん有罪と決めつけられるだろうし、裁判で事実上ビジネス人生も終わりにさせられる」と思ったんでしょう。
なるほど。ちなみに本人は「公正な裁判を受けるために日本を出た」って言ってましたけど。そこはどうですか?
それは建前ですね。
やっぱそうですよね。「返り咲きたくて」会見やってるようにしか見えなかったです。
返り咲く気持ちはそんなに感じませんでしたね、僕は。
でも未練タラタラでしたよ。
未練というより恨み節。自分を裏切った奴らに対する。
経営の表舞台で「俺はまだまだやれるんだ」という意識を、すごく感じましたけど。
でも彼、もう出られませんからね。レバノンの外には。
そうですね。外に出たら日本に強制送還されちゃう可能性もあるし。
刑務所よりはいいんでしょう。たとえレバノンから出られなくなっても。
日本にいると家族にも会えなかったみたいですし。
家族に会えないって、そりゃ奥さん共犯だから。保釈中に共犯者と話しをさせるなんてあり得ないでしょ。
でも奥さんは起訴されてませんよ。共犯の疑いがあるぐらいで、あそこまでやっていいのかって思いますけど。
まあね。だからそこら辺が日本の刑事司法の問題。今回は「世界的に日本の司法が注目されるチャンス」だったんですけど。
残念ながら保身の話ばかりでしたね。会見は。
その通り。
「フランスで裁判を受けます」ぐらい言えば良かったのに。
言うわけない。下手したら日本に引き渡されるし。
そんなことしますかね?フランスは自国で裁判やると思うんですけど。
いや、わかりませんよ(笑)。ルノーも「ちょうどいい厄介払い」だと思ってるかもしれない。「日本に戻しなさい」っていう可能性はある。
いくらなんでも自国民は引き渡さないでしょ?
だってルノーは庇わないし、擁護もしないじゃないですか。あれはフランスの意思ですよ。
最初のころは擁護してましたけどね。
たぶん事実を知って「こいつ本当に悪いことやってたな」って分かったからだと思う。
そこまでやってるとは思わなかったと。
はい。もし彼がやってたことが、本当に犯罪に抵触しないのであれば、ルノーはもっと守ったと思う。
ルノーもクロだと思ってる?
100パーそうだと思いますよ。
ちなみにルノーと日産の関係はどうなるんですか?「これを機に、もうルノーは離れてください」って日産の幹部が言ってますけど。
一番しんどい時に“助けてくれ”と言っておいて、うまく行きだしたら“出ていってくれ”って。「それはねえよな」っていう感じ。
ですよね。
はい。もうルノーは離さないと思いますよ。
でも、いまのままだったら、どんなに儲かってもルノーに配当で持っていかれます。
おっしゃるとおりです。フランスの植民地ですよ。
それはしょうがないと。
それが資本の論理ってもんですから。
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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。