小さなブルーオーシャンに出会う旅 第44回「本が好きな人なら、一度はやってみたい小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

第44回「本が好きな人なら、一度はやってみたい小さなブルーオーシャン」


「31cm四方の棚に込められたそれぞれの想い」

読書が趣味、本が好きという人は、
とても多いですね。

近頃は、動画が主流となり、
本を読む時間がめっきりと少なくなりました。
活字離れ、などと言われることもあります。

私自身も本を読む時間がめっきりと減り、
You Tubeばかり見ています(笑)

とは言え、活字自体が嫌いなわけではないので、
本は読むのですが、紙の本はかさばるため、
電子書籍が主流。
そうなると本屋さんに行く、
ということもめっきり減りました。

このような時代で見つけたのが、
「ブックマンション」。

無人古本屋BOOK ROAD店主、
中西 功氏が始められたビジネスです。
(「無人古本屋」というのも面白いですね)

とあるビルの地下一階にある部屋。
中に入ると、壁一面に並ぶ本。
本屋なので、当然と言えば当然ですが、
実はこの31cm四方の棚には
それぞれ違うオーナーが管理しているというのです。
つまりは棚の一つひとつが小さな本屋さん、
というわけです。

Lubos HouskaによるPixabayからの画像

本棚に置く本は自由で、新しい本を仕入れても、
同じ本を何冊置いても、自分が読み古した本でも、
自作の本を販売しても良い。
価格も自由に設定できる。

31cm四方の棚には、
本を通じて、オーナーの
夢や想い、考え、コンセプトなど、
さまざまなものが詰まっていると言えます。

小さなブルーオーシャンを生み出しているものは何なのか?

調べてみると、このブックマンションを
仕掛けている中西 功氏は、
IT企業にお勤めだったそうです。
中西氏がある空きビルを見て、
独立を決めたのだとか!
もともと、副業で無人古本屋を
手掛けていた中西氏ではありますが、
空きビルを見て、アイデアが湧き、
退職を決断して、独立する。
その決断の早さに驚きです。

また、コンセプトが明確です。
「日本列島、本屋さん増大計画」
が中西氏の考え。

また、ブックマンションを立ち上げるのにあたっては、
「本屋をシェアする文化の発信基地を作りたい」と、
クラウドファンディングで呼びかけました。
結果は総額575万6000円でフィニッシュ。

こうして見ると、本屋の需要が少なくなったとか、
活字離れとか言われているのが、本当なのか、
疑問に思いますね。

ちなみに支援のリターンの一つとして
「本棚の貸し出し」を用意し、
実際に77人もの人びとが本棚(合計78棚)を
借りられたそうです。
番号のふられた棚を借りるので、その名も「ブックマンション」。
棚の位置に不公平が生じないよう、
棚は2カ月ごとに入れ替えるそうです。

ちなみに、1棚あたりの値段は月額3850円。
本が1冊売れるごとに手数料として
100円を中西さんに支払う仕組み。

実はその背景にも中西氏の考えがあり
古本屋といえば1冊50円、100円という本も
よくあります。
しかし、それだと利益が出ません。
質の高い本を、きちんと高い値段で売る、
これが中西氏の考えだそうです。

本、本屋というビジネスモデルは
レッドオーシャンです。
しかし、みんなで小さな共同体を形成し、
シェアしていくのであれば、
小さなブルーオーシャンとして、
よりコアな層を獲得していけるのかもしれません。

 

株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。
中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

 

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