社員に自立せよと主張する経営者は多い。
だが独立することやフリーに
なることには反対したりする。
この矛盾に真っ向から向き合わない限り、
社員が自立することなど永遠にないと心得るべきだ。
経営者が求めているのは
自分にとって都合のよい自立である。
与えられた商品(価値)を売るのではなく、
自ら考えた商品(価値)を生み出せ。
教えられた売り方で売るのではなく、
新たな売り方を自ら考えろ。
指示された顧客のもとに出向くのではなく、
自ら新規顧客を開拓せよ。
つまり新たな商品(価値)を、新たな方法で売り、
新たな顧客を開拓せよということ。
だが独立は望んでいない。
独立できるだけのスキルとスタンスを兼ね備えた上で、
会社員でい続けることを求めているのである。
それのどこが悪いのか。
社会にはいろんな人間がいるのだ。
独立できたとしても、フリーになれたとしても、
会社員でいたい人はたくさんいる。
もちろんそうだろう。
では彼らが会社員でいたい理由は何なのか。
毎月決まった給料が保証されていること。
ちゃんと社会保険に加入できること。
それだけだろうか。
雇っている側からすれば、
それだけでも大きな負担である。
だがそれに見合う働きをしてくれるのならいい。
問題はその投資に見合わない社員である。
固定給に見合わないパフォーマンス。
それでも給料は払い続けなくてはならない。
社会保険料も負担し続けなくてはならない。
ひとり残らず自立して稼げるようになれと
言いたい気持ちはよくわかる。
だがそうはならない。
独立しても食っていける。
それでも社員でいたい理由は保証である。
もしものときの保証。
仮に売れなくても、仮に商品が生み出せなくても、
仮に顧客が開拓できなくても、
保証された給料はきちんと支払われる。
結果が出なかった時にも報酬がもらえる。
それが会社員というものである。
同じ保証があるのなら
独立する人やフリーになる人は劇的に増えるだろう。
だがそんな人が独立して成功するとは思えない。
なぜなら自立心がないからである。
自らリスクを負えるのかどうか。
それが自立の境目なのだ。
本気で社員を自立させたいのであれば
リスクを負わせるしかない。
だがそれは社員の求める立場ではない。
彼らはリスクを負いたくないから社員なのだ。
そしてリスクを背負わない限り
真の自立心は芽生えない。
つまり自立と独立はイコールなのである。
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