赤い出口、青い出口 第42回「起業家の変化」

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第42回 起業家の変化

【イマドキの起業家】

最近、若手の起業家という方と
知り合う機会がしばしばあります。
お話をすると、刺激が多く見習うことだらけです。

モデルイメージは以下のとおり。

歳は30前後。
ITの技術を持っていて、
論理的思考力が高く、
物事を客観的に見る力をもっています。
すでに自身の会社に出資を受けていたり、
出資の話が複数きていて、
お金が欲しいというよりも、
社会的なインパクトを求めて行動しています。
服はユニクロ。
酒はほどほど。
淡々と知的に話をします。
人を蹴落としてまでも這い上がろうというような
ギラギラ感はなく、
スマートと言うしかありません。

【20年前の起業家との違い】

20年前ドットコムバブルの際は、
インターネットを知る人も知らない人も、
エネルギーを持つ人が集まって、
市場をつくっていたような気がします。

社会課題の解決というより、
自由で便利な社会への渇望などが動機となって、
インターネットをいち早く導入することで、
新しい市場をつくっていく。
そんな汗臭い熱気のようなものを感じたものです。

エネルギーの塊の起業家と、
スマートな起業家。
同じ起業家でも、20年経てば大きく違います。
起業家に必要なものは
「エネルギー」と「夢」
だと信じていた私は、学ぶことしかありません。


【動機と手法】

20年前の、
「夢」や「エネルギー」を感じさせる起業家は、
自分の経験や思いがモチベーションでした。
どうしても許せないことや、
あったら便利なものをつくる。
そこに起業の力があったような気がします。

「エネルギー」を感じさせない、
今の起業家がすごいのは、
思いなんて微塵もないとしても、
きちんとビジネスにはできますよ。
のような、オールマイティ感があるのです。

売上を上げる仕組みや、
組織の動機づけの仕組み、
プログラムのクセや消費者心理に詳しく、
「事業化のプロフェッショナル起業家」
とでもいいましょうか。

この2つの起業家像は
中心に据えるものが違うようです。
おそらく、
「動機」と「手法」
の違いなのだろうと考えます。

【起業の出口がある時代】

私達おじさんは、
やっぱり「動機」を重要視してしまいます。
独立するならカフェをやりたい。
パン屋をやりたい。だって、好きだから。
なんなら、
「起業時の思いの強さが、ビジネスの成功」
くらいの感覚を持っています。

「手法」の起業家は、
自分の得意不得意を知っています。
得意とする事業の立ち上げで
上手に起業できたら、
後は得意な人に運営してほしい。
自分の起業の出口を持っているとも言えます。

一生やり続ける商売は「動機」でつくり、
出口のある起業は「手法」でつくる。
そんな役割分担もあるのかな。
ここ最近の出会いでした。

 

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- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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