第207回「タクシーは2強の時代へ」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第206回「インターンはこう変わる」

 第207回「タクシーは2強の時代へ」 


石塚

「配車アプリGO」使ってます?

安田

使ったことないです。テレビでCMやってるやつですよね?

石塚

そう。これ、めちゃくちゃ便利ですよ。

安田

うちの子どもがタクシーを見ると「ゴー!ゴー!」って叫ぶんですよ(笑)

石塚

(笑)

安田

「GO」はテレビCMをやりすぎて、呼んでもなかなか来ないって聞きました。競合のなんとかの方が早いって。

石塚

S.RIDE(エスライド)でしょ。

安田

そうそう。S.RIDEのほうが早いから、GOのお客さんが流れてるって聞きました。

石塚

そんなことないと思います。僕は「GO」をしょっちゅう使ってますけど、あっという間に来ます。ついこの間も日野で使ったけどあっという間に来た。

安田

「呼んだけどぜんぜん来ない」みたいなことは一度もないですか?

石塚

そもそも「車が来る・来ない」も1分でわかるんですよ。「ここはいません」って教えてくれるから。

安田

そういう仕組みなんですか。

石塚

そうです。

安田

あれってつまり、タクシー会社が配車アプリと契約しているってことですよね。

石塚

いえ。あれは自社開発です。

安田

そうなんですか!

石塚

GOは日本交通の自社開発です。

安田

じゃあ日本交通さんがCMを打ってるんですか。

石塚

その通りです。つまり日本交通はシステム会社でもあるわけです。

安田

すごいですね。

石塚

すごいですよ。

安田

で、S.RIDEというのは、そのパクリですか。

石塚

東京には四大タクシー会社がありまして。「S.RIDE」は日本交通のライバル会社である国際モータースが運営してます。

安田

パクリではないと。

石塚

両者は拮抗してます。

安田

へぇ~。

石塚

東京には中小を合わせて、いろんなタクシー会社があるんですけど。大手は4つなんですよ。

安田

残りの2社はどうなったんですか?

石塚

「GO」系列と「S.RIDE」系列に、完全に分かれました。

安田

へぇ~。

石塚

日本交通、大和交通、国際自動車交通、帝都自動車交通。それが「日交」対「km」になったんですよ。この2強に収れんされちゃったってことです。

安田

他は競争に負けちゃったってことですか。

石塚

いえ。他はみんな利用料を払って「アプリ使わせて」という戦略。

安田

たしかに、その2つしか見かけませんもんね。

石塚

東京のタクシーは2強の時代です。「どっちにつくの?」っていう。いまさら第三極を自社でやったって無理なので。

安田

ということは、「GO」と書いてあるから日本交通とは限らない?

石塚

おっしゃる通りです。小田急タクシーが来たり。

安田

なるほど。GO傘下ってことですね、つまり。

石塚

その通り。アプリによってタクシー業界を支配しているわけですよ。

安田

もはやその2社は自分のところでタクシーを持つ必要もなさそうですね。アプリ会社になっちゃったほうがいいんじゃないんですか。

石塚

いや、乗務員をたくさん抱えていて、車も持ってるからこその強みもある。

安田

へえ〜、そうなんですね。人材確保も大変そうですけど。

石塚

そこも変わりつつあります。昔のように流さなくてもアプリだけで成立するので。新人ドライバーが育ちやすくなってるわけですよ。

安田

なぜ石塚さんは「S.RIDE」を使わないんですか?

石塚

たまたまです。「GOかあ」って使ってみたら便利だから、そのまま。何回か使うとクーポンが来るんで、またGOを使うっていう。ハマっちゃった感じ。

安田

なぜGOはあんなにCMをやるのに、S.RIDEはやらないんですか?

石塚

広告戦略の違いなんでしょうね。

安田

タクシー業界はなぜ急にアプリ主体になったんですか。

石塚

コロナがすごく後押ししたらしいです。

安田

なるほど。

石塚

街から人はいなくなるけど移動するニーズは消えないから。実は日本交通も10年前からやってたんですけど、四苦八苦してたんです。

安田

すんなり行ったわけじゃないんですね。

石塚

高齢の乗務員はアプリを覚えるのが「面倒くさい」ってなるので。

安田

そうでしょうね。

石塚

だからアプリで取る乗務員が少なかった。それがコロナで流しがダメになって、もう取らざるをえなくなって。一度覚えたら「これ楽だよね」って話になったわけです。

安田

コロナだと流しはダメなんですか?

石塚

だって街に人がいなくなったじゃないですか。

安田

確かに。

石塚

家にいて、どこかに行きたいときには配車アプリで呼ぶ。本当に家の前まで来ますよ。

安田

へぇ~。

石塚

5分前まで、下手したら3分前まで仕事して、「あと2分で到着します」「じゃあ行ってくる」ってエレベーターで下りて、1階にもう止まってる感じ。

安田

2分前に連絡が来るんですか?

石塚

刻々と「いま、このへんに来てます」って、タクシーの位置が地図上に表示されます。

安田

迎車代金はかかるんですか?

石塚

かかります。

安田

それでもみんな使うんですね。

石塚

これだけ便利だとそうなりますよ。

安田

最終的には「GO」か「S.RIDE」か、どっちかのチームに吸収されていくと。

石塚

そうです。どっちかに入らないと商売ができない。

安田

ユーザーから見ると非常にいい状態ですね。2社で健全に戦ってくれると。

石塚

オリンピックでタクシーの車体も新しくなったし、女性の利用が増えたらしいですよ。アプリだと安全だから。

安田

確かにタクシーが綺麗になりましたね。

石塚

行き先を入力しておけば、いちいち目的地を説明しなくてもいいし。支払いは登録してあるカードで引き落とし。お金を払う必要もない。

安田

めちゃくちゃ便利ですね。近くでも気にせず乗っていいんですか。

石塚

まったく問題ないです。

安田

今度使ってみます。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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