2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
第207回「タクシーは2強の時代へ」
「配車アプリGO」使ってます?
使ったことないです。テレビでCMやってるやつですよね?
そう。これ、めちゃくちゃ便利ですよ。
うちの子どもがタクシーを見ると「ゴー!ゴー!」って叫ぶんですよ(笑)
(笑)
「GO」はテレビCMをやりすぎて、呼んでもなかなか来ないって聞きました。競合のなんとかの方が早いって。
S.RIDE(エスライド)でしょ。
そうそう。S.RIDEのほうが早いから、GOのお客さんが流れてるって聞きました。
そんなことないと思います。僕は「GO」をしょっちゅう使ってますけど、あっという間に来ます。ついこの間も日野で使ったけどあっという間に来た。
「呼んだけどぜんぜん来ない」みたいなことは一度もないですか?
そもそも「車が来る・来ない」も1分でわかるんですよ。「ここはいません」って教えてくれるから。
そういう仕組みなんですか。
そうです。
あれってつまり、タクシー会社が配車アプリと契約しているってことですよね。
いえ。あれは自社開発です。
そうなんですか!
GOは日本交通の自社開発です。
じゃあ日本交通さんがCMを打ってるんですか。
その通りです。つまり日本交通はシステム会社でもあるわけです。
すごいですね。
すごいですよ。
で、S.RIDEというのは、そのパクリですか。
東京には四大タクシー会社がありまして。「S.RIDE」は日本交通のライバル会社である国際モータースが運営してます。
パクリではないと。
両者は拮抗してます。
へぇ~。
東京には中小を合わせて、いろんなタクシー会社があるんですけど。大手は4つなんですよ。
残りの2社はどうなったんですか?
「GO」系列と「S.RIDE」系列に、完全に分かれました。
へぇ~。
日本交通、大和交通、国際自動車交通、帝都自動車交通。それが「日交」対「km」になったんですよ。この2強に収れんされちゃったってことです。
他は競争に負けちゃったってことですか。
いえ。他はみんな利用料を払って「アプリ使わせて」という戦略。
たしかに、その2つしか見かけませんもんね。
東京のタクシーは2強の時代です。「どっちにつくの?」っていう。いまさら第三極を自社でやったって無理なので。
ということは、「GO」と書いてあるから日本交通とは限らない?
おっしゃる通りです。小田急タクシーが来たり。
なるほど。GO傘下ってことですね、つまり。
その通り。アプリによってタクシー業界を支配しているわけですよ。
もはやその2社は自分のところでタクシーを持つ必要もなさそうですね。アプリ会社になっちゃったほうがいいんじゃないんですか。
いや、乗務員をたくさん抱えていて、車も持ってるからこその強みもある。
へえ〜、そうなんですね。人材確保も大変そうですけど。
そこも変わりつつあります。昔のように流さなくてもアプリだけで成立するので。新人ドライバーが育ちやすくなってるわけですよ。
なぜ石塚さんは「S.RIDE」を使わないんですか?
たまたまです。「GOかあ」って使ってみたら便利だから、そのまま。何回か使うとクーポンが来るんで、またGOを使うっていう。ハマっちゃった感じ。
なぜGOはあんなにCMをやるのに、S.RIDEはやらないんですか?
広告戦略の違いなんでしょうね。
タクシー業界はなぜ急にアプリ主体になったんですか。
コロナがすごく後押ししたらしいです。
なるほど。
街から人はいなくなるけど移動するニーズは消えないから。実は日本交通も10年前からやってたんですけど、四苦八苦してたんです。
すんなり行ったわけじゃないんですね。
高齢の乗務員はアプリを覚えるのが「面倒くさい」ってなるので。
そうでしょうね。
だからアプリで取る乗務員が少なかった。それがコロナで流しがダメになって、もう取らざるをえなくなって。一度覚えたら「これ楽だよね」って話になったわけです。
コロナだと流しはダメなんですか?
だって街に人がいなくなったじゃないですか。
確かに。
家にいて、どこかに行きたいときには配車アプリで呼ぶ。本当に家の前まで来ますよ。
へぇ~。
5分前まで、下手したら3分前まで仕事して、「あと2分で到着します」「じゃあ行ってくる」ってエレベーターで下りて、1階にもう止まってる感じ。
2分前に連絡が来るんですか?
刻々と「いま、このへんに来てます」って、タクシーの位置が地図上に表示されます。
迎車代金はかかるんですか?
かかります。
それでもみんな使うんですね。
これだけ便利だとそうなりますよ。
最終的には「GO」か「S.RIDE」か、どっちかのチームに吸収されていくと。
そうです。どっちかに入らないと商売ができない。
ユーザーから見ると非常にいい状態ですね。2社で健全に戦ってくれると。
オリンピックでタクシーの車体も新しくなったし、女性の利用が増えたらしいですよ。アプリだと安全だから。
確かにタクシーが綺麗になりましたね。
行き先を入力しておけば、いちいち目的地を説明しなくてもいいし。支払いは登録してあるカードで引き落とし。お金を払う必要もない。
めちゃくちゃ便利ですね。近くでも気にせず乗っていいんですか。
まったく問題ないです。
今度使ってみます。
石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。