第108回「蜂が作らない蜂蜜」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第108回  「蜂が作らない蜂蜜」

アインシュタインは言いました。「もしこの世からハチがいなくなると、人類は4年で絶滅する」と。

学術誌「One Earth」が2021年1月に発表した論文によると、ここ数十年の間に蜂は世界的に減少しており、2006年から2015年の間に報告された種数は、1990年代以前に比べて約25%も減っているとのこと。日本でも蜜蜂を含む多くの蜂が準絶滅危惧というカテゴリーに分類されています。
農作物の75%は蜂によって受粉されおり、蜂がいなくなると農作物の生産は壊滅的になるとも言われています。アインシュタインの言葉はこれを指しているのでしょう。
もちろん蜂蜜にも影響があります。
世の中には、約2万種の蜂がいますが、そのうち蜂蜜をつくれるのはなんと7種のみ!
その7種は、蜂蜜づくりのために同種交配がなされ、負荷がかかり、数が減ってきています。種類が少ないことは、ウイルスなどの外的要因で一気に数が減るリスクもあります。


国際登録第1645512号(権利者:BEEIO HONEY TECHNOLOGIES LTD)
【商標】

【指定商品/役務】代用はちみつ 花蜜及びはちみつ培養製品の研究・開発・エンジニアリング及び試験 など


そういった蜂への負担やリスクを排して蜂蜜を作るのが、イスラエルのベンチャーBEE-IO社です。

花で蜜を飲む蜜蜂には特別な胃があります。体内で酵素を作り、蜜と一緒に胃に入れることで蜂蜜ができるのです。BEE-IO社は、植物の蜜と蜜蜂のタンパク質を使用することで、研究所に蜂の胃を“再現”して蜂蜜を作っています。

未来コンパスが指すミライ

彼らの製品は、蜂蜜の代替品ではないのです。
例えば、植物肉のように全く別の成分を使って作られる食品も注目されていますが、“生き物由来ではない“のに、蜂が作った蜂蜜とほぼ同じ蜂蜜をつくるのが、BEE-IOのすごいところ。蜂が介在しないので“蜂”蜜とは呼べないのかも知れませんが、見た目も味もリアルな蜂蜜です。
肌感覚の話で、断定はできないのですが、「生き物を食べること」や「自然に負荷を与えること」に抵抗を感じる傾向が、世の中全体で、少数ながら出始めているような印象を受けています。
“蜂が作っていない蜂蜜“。“牛から採っていない牛乳“。こういった代替品でないほぼリアル品がミライには当たり前になるかも知れません。

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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