第162回 トップシェアの悲劇

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/トップシェアの悲劇

大手生保A社の若手たちが集まる場に声をかけていただきました。

4,5年目社員が、1,2年目の方々に対して「失敗談」をシェアし、その体験から「気づき、学び」を得る、「共に成長機会を考える」、そんな趣旨の集まりでしたが、高松に声がかかったのも、「なんか高松さんって、結構な失敗を、だいぶしていらっしゃるって、上司から聞いたので」と言うことなのでした。。

「Mr.perfect」を自負するワタクシが、そんな印象を持たれているとは、つゆ知らず。。

まあ、ワタクシごときの経験が、未来あるどなたかのチカラになるのであれば、と。あれやこれや「恥ずかしい話」を披露してきたのです。

これがどうして!
自分にとって、とても良い機会でした!

恥ずかしい失敗の数々を話すことで、「若かりし頃の“野心”」に触れられたり、そこから立ち直った際に感じた「周囲への感謝」を思い出したり。

なんだか、久しぶりに向き合った感情だったのですが、これからの自分を想像する良い時間となりました。

「定期的な振り返りはとても大切ですね!!」

と言う話ではなく、

そこで、上がった話が「さすが大手さん!」と唸らされたので、そちらの共有を。

5年目社員のMくんのご体験です。

「新卒で入社して、都内配属を希望していたのですが、東北になりまして、、、」

「縁もゆかりもない東北配属に、『辞めてやるわっ!』と、初めは、めちゃくちゃクサっていたんです」

「でも、行ってみると、周りの先輩たちが人間的に素敵なだけでなく、バリバリと仕事もできる。とても魅力的な人たちばかりで!」

「実は、◯◯支店は、社内では、花形・名門とされる自動車営業課がメインの支店で、僕は、そこに配属させてもらえたんですよ」

「社会人1年目から、とことん仕事に打ち込む姿勢を見せてくれる先輩たちがすぐ近くに数多くいてくれたことは、今考えても、めちゃくちゃラッキーでしたね」

「仕事の基準値をあげること。がむしゃらにやり切る大切さ。僕らの世代って、仕事とプライベートを完全に切り分けることこそ大事、って思っている人たちが多いなと思うんですが、人生の選択肢の幅を広げてくれた配属先でした」

なんだか、素敵な話が続いていたので、そろそろ「やらかし体験談」を欲しがっていたのですが、

「花形部署って言ったでしょ?」

「例えば、◯◯県の自動車保険のシェアは60%近くとっているようなとこなんですよ」

「で、2年目の時に、営業車で◯◯県を移動中に、、、」

「2回事故っちゃったんですよ。。。」

「自動車保険を売っている人間として、やってはならないことなんですけど。。」

「しかも、ぶつけてしまった2台ともが、ウチの保険にご加入いただいているお客様という、、、」

「あ、ウチの保険ですか?いつもありがとうございます。。ワタクシ、そこの人間でして、、しかも自動車保険営業部門におりまして、、、」

「いやぁ、先輩・上司にも怒られまくりましたね。」

県内シェア6割ってことは、A社さんの保険に加入している車が、2台に1台以上ってこと。

そりゃあ、ぶつけたら、悲劇ですよね。。

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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