第166回 断固反対を貫くべし

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/断固反対を貫くべし

「新卒採用」、「若手の中途採用」、そして「若手層の早期離職」に頭を悩ませているという、某大手、人事部門の方々とお会いしました。

「5年ほど前から、新卒の目標人数を確保できなくなり、、」

加えて、

「じわじわと、若手の離職者数も増加して、、、」

さらには、

「ここ数年のコロナ禍で、それらに拍車がかかってきているんです、、」

とお悩みのご様子でした。

「時代の変化など、様々な背景や要因が考えられますが、、」

に、続けて。

「ウチは、上下関係に厳しい『職人気質な社風』ですし、、」

「多くの残業を求めないといけないくらい、『人手不足』ですし、、」

「それでいて、他業界と比べると『報酬も高くはない』ですし、、」

と、なかなかにご苦労なさっているご状況。

そんな中、

人事部長だというAさんが、

「若手が『退職相談』とかしてきたら、どんな声がけをしてるんや?」

と、幾人かにご質問を。

「現状の悩みや、今後のキャリアなどを聞いて、一緒に頑張っていこう、みたいな話をしています」

などの声が上がっていましたが、

A部長は、

「俺の場合、夢や、新しいことに挑戦したい、、とか、成長のために環境を変えたい、、とか言うてるヤツには、必ず『止めとけ』『絶対無理や』って、言うようにしてるねん」

「判断基準は自分自身の思いやろから、勝手にしたらええねんけどな。それでも『止めとけ、お前には無理や』て伝えてるねん」

「俺に、そんなこと言われて、『やっぱり、残ります』って考え直すヤツ、これまで結構いたよ」

「でもな、その程度で、自分の思いをあきらめたヤツらに、大きく成長したヤツはおらんかったよな、、」

「たかだか人事部長か、そこらの上司に反対されたからって、その程度で気持ちが揺らぐようやったら、他所で活躍なんてできるワケないよな。どんな反対の声や批判を受けたって、『なんとしてもやってやる!』っていう、そんな意志や情熱がなかったら、結局、他所に出てくことはないし、活躍なんてできるワケないわな」

「あ、これな、イチローが決めてることやねんて」

「昔、決断を迷っているという知り合いからの相談に乗った時、軽く背中を押してあげたんやって。そしたら、その相手が、新しい世界に挑戦して、全然良い結果にならんかったみたいでな」

「それからは、軽々しく相談に乗らんと、『断固反対』をするようになったんやってさ」

「それでもトライするという強い気持ちを持ったやつが成長するやろし、たとえ反対されても、自分の信念を貫く決断ができるかが人生には大事やろし」

「ま、そう言うこっちゃ!」

なにやら、よくわからない結末でしたが、、

「うん。良い話を聞けたな」という1日でしたww

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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