第11回 中小企業の生き残り戦略

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第11回 中小企業の生き残り戦略

安田
渡邉さんは日々、中小企業の社長さんからいろんな相談を受けていると思うんですけど。最近はどんなものがありましたか?

渡邉
そうですね。「経営数値を見える化したい」というご相談がありましたね。5店舗くらいあるリフォーム会社さんで、店舗ごとの本当の収益が知りたいと。
安田
本当の収益ということは、「実際にどれくらい儲かっているのか」を知りたいってことですね。

渡邉

そうですね。それで、在庫状況が経営にどう影響するのかとか、請求フローや計上ルールの見直しとかを含めて、数値を見える化するためのプロジェクトが始まったんです。

安田
なるほど。バックオフィスから経営まで幅広いですね。

渡邉
ええ。ちなみにバックオフィス系の業務って、「プロ人材」を使う価値がすごくあるなと思ってて。例えばデータの保存方法がバラバラで社内の情報が乱雑になってることってあると思うんですけど。
安田
データの管理方法とか、細々したルールって属人化しがちですからね。共通のものを作るのも意外と大変ですし。

渡邉
そうなんです。そこを「プロ人材」に任せることで、かなりスッキリするんです。資料を探したり、過去のメールを調べたりっていう無駄な時間も削減されますし。
安田
確かに、無駄を削減するのはすごく大事ですよね。でも中小企業って、売り上げに直結しないことってあんまりやりたがらない印象があります。

渡邉
そうですね。短い期間で成果を出したがる傾向はあります。問い合わせとか売上とか。でもそういうことは資金力のある大手の方が得意ですからね
安田
大企業と同じ土俵で戦っても勝てませんからね。

渡邉
ええ。中小企業が有利なのは「長期戦略」だと思うんです。ニッチな情報発信をして、少しずつファンを作っていくことが重要で。
安田
確かに。むしろ短期間で成果をもとめられる大企業では、長期でコツコツなんてやってられないですからね。
渡邉
そうなんですよ。中小企業のマーケットなら、“偏った情報発信”をコツコツと続けていくことで、広告などをやらなくても問い合わせが増えるようになると思います。
安田
最近はすぐコンバージョンと言い出しますけど、大手企業のマーケティング用語に中小企業も踊らされているような気がしますね。

渡邉
そうかもしれません。中小企業が目先の数字を追いかけても、大手以上の成果はなかなか出せないですから。結果、これは失敗だったと途中でやめてしまうことが多い。
安田
そもそも短期で成果が出そうなものには、すぐみんなが集まって来ますからね。自然にレッドオーシャン化してしまう。

渡邉
そうなんですよね。広告手法についても同じです。このやり方は反応がいいとか、意外とチラシの反響がいいらしいとか、すぐに情報が出回ってみんな同じ手法を試してしまう。結局は大きな予算を投入できるところだけが勝つことになるわけです。
安田
う〜ん。やっぱりそこは逆を行くべきなんでしょうね。すぐに反応が出なくてもコツコツ続けることが大事だと。ただ、中小企業の社長って見切りが早いというか気が短いというか…

渡邉
笑。確かにそういう人は多いかもしれません。短ければ3ヶ月、長くても1年くらいで事業をやめてしまったりしますからね。
安田

一方で、はたから見たら「よくこんな商売で食っていけるな」という会社さんが、意外と儲かっていたりもする。

渡邉
そうそう。そういう会社って、他の会社がやめていったことをずっと続けてたりするんですよね。ライバルがどんどん減っていって、結果その会社だけになっているというか。
安田
数億〜数十億くらいの小さなマーケットでも、1社で独占できればすごい利益ですからね。

渡邉
ええ。体感ですが、百億〜一千億規模のマーケットだったら大手がすぐ参入してきます。十億〜二十億のマーケットだと大手はなかなか手が出しづらいので、その分時間をかけられる。
安田
中小企業はそういうマーケットを狙うべきですよね。そして焦らずじっくり事業をすると。

渡邉
そういえば、僕も安田さんに勧められてやっているポッドキャストは7年以上続けていますけど、成果を感じたのは3年目ぐらいからでしたね。それまではひたすら続けることを目標にして。
安田
「3年間は成果が出ない」というのがむしろポイントなのかもしれないですね。1年で結果が出るようなことは、みんな挑戦しやすいので。

渡邉
安田さんもそういうビジネスモデルを編み出して成功させてましたよね。もっと広まってもいい気がしますけど。
安田
よく言われるんですけどね。3年くらいで軌道に乗り出して、そこから先はずっと利益が出てるので。ただ、やっぱり3年かけてビジネスモデルを作るって普通の経営者はなかなかやらないんですよね。

渡邉
広告費をかけず、相見積もりもなく、そしてちゃんと売れるビジネスモデルが手に入るというのに…
安田
「3年も続ける体力がない」って言うんですよ。逆に体力がないからこそ、広告を打つ代わりに時間で勝負するしかないと思うんですけど。
渡邉
個人事業主でも、地道な発信なんてやってる暇はないと言いながら、1日20時間くらい働いたりして。その時間でコツコツと種まきをした方が良いのに、と思いますね。
安田

本当にそうですね。次回は、まさにその「長期戦略が得意なプロ」の方のお話を聞いてみたいと思います。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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