このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/転勤の理由
「採用難、人手不足、離職防止」などの背景から「三菱UFJ信託銀行」が「総合職の転勤時に50万円の支給」を発表しました。
この秋(10月)からの導入予定ですが、条件を満たせば今年4〜9月の異動にも遡って適用するとのこと。
新制度は、引っ越しを伴う転勤者に「一律で50万円」を一時金として支給しますが、転居時の住環境を整えるために支給してきた、「これまでの手当とは別」に異動後の賞与に上乗せするようです。
「全国転勤が前提」とされてきた「総合職4500人ほど」が対象で、大手銀行では「極めて異例!」の取り組みとなります。
近年は、辞令による転居に「強いネガティブ感情」を持つ若手世代が増え、さらには、人手不足で採用の「売り手市場」も強まっているための対策でしょうが、今後、他業界でも似たような動きが進むことが予想されます。
ところで、マイナビの24年卒大学生就職意識調査では、「入社したくない会社」において「ノルマのきつそうな会社(38.2%)」に次いで、「転勤の多い会社(29.6%)」が第2位に入っていると開示されていましたが、要するに、転勤は「求職者から嫌われている」のでしょう。
冒頭の銀行の取り組みは、
これまで我慢を強いてきことを、今度は、「お金を払うから我慢してや」というようにも映ります。。
もちろん、転勤手当を手厚くすることは、社員や求職者にとってポジティブなことではあるでしょうが、時代変化による、世の中のムードを感じとると、そもそも転勤とは、企業・組織にとってではなく、「社員のキャリア形成にとってどんな意味を持つのか?」、そのことを問い直すと同時に、「転勤不要のビジネスモデル構築」こそが経営者には求められているのではないでしょうか。
それにしても、銀行がこんな取り組みをするなんて、かつては想像もできませんでしたね。。