この対談について
健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。
第26回 大便が少なければ、健康なのか?
第26回 大便が少なければ、健康なのか?
今日は「大便」についてお話を伺っていきます。以前、久保さんは「全く食べなくても大便は出る」と仰っていましたよね。
ええ、そういう話をしましたね。
ただファスティングをした人に聞くと、便の量は明らかに減ると。だから私は、「長期間まったく食べなければ、最終的に大便は出なくなるんじゃないのか」と考えたわけです。
確かに、大便として排泄される食べ物のカスは減るかもしれませんね。
ええ。さらに言えば、仮に食べたとしても、その成分をすべて消化・吸収することができれば、やっぱり便は出なくなるんじゃないかと。
仰る通り、食べたものすべて消化・吸収され尽くすのであれば、何も排泄されないというのは一理あるかもしれません。ただそもそもの話、便というのは100%食べ物のカスではないんです。老化した細胞など、体内の老廃物も大便として出ていくので。
もちろん完全にゼロにするのは難しいでしょう。でも量を限りなく少なくすることはできるんじゃないかと思っています。
なるほど。ちなみに大便の成分を見ていくと、約7割は水分で、残りの3割が固形物なんですよね。
その固形物にはどんなものが含まれるんでしょう。
大きく3つに分けられます。まず食べたもののカス。腸から取り込めない食物繊維や、分解しきれなかったタンパク質などですね。
ふむふむ。それはわかりやすいですね。
2つ目は腸壁などからはがれ落ちた古い細胞。そして3つ目は腸内細菌。これら3つが大便となって体外に排出されているものです。
ふーむ。つまり、ファスティング=断食中でも大便が出るのは、2つ目や3つ目のものが水分と一緒に排出されていると。
仰る通りです。たとえ何も食べていなくても、細胞は毎日入れ替わって、新陳代謝が行われている。だからファスティングだからといって、大便が出ない、ということにはならないわけです。
とはいえ、やっぱり「大便が出る」ということは、カラダにとって必要以上の量を食べているからだと感じてしまうんです。だって人間に比べて、野生動物の便はそれほど大量に出ていないと思うんですよ。
そうですか? 特に草食動物は結構な量を出していると思いますけど(笑)。
それは栄養を取るために、やむなく消化できないものも一緒に食べてしまっているからですよね。野生動物は、人間のように食べやすく調理しませんし。
たしかに果物の皮を向いたり、貝を殻から取り出したりして食べやすく・吸収しやすくするのは、人間だけですね。
それにもかかわらず、野生動物と比べると、人間の大便の量は多いと思うんです。それはつまり、人間が必要以上に食べ過ぎている証拠なんじゃないでしょうか。
なるほど。吸収しきれないほど多く食べているから、その過剰分が大便として排泄されている。そうお考えなんですね。
ええ。だから「カラダに良い食べ物」を「適量」で食べていれば、大便の量は減るんじゃないでしょうか。食べ物のカス以外の老廃物であれば、それほど多くはないでしょうから。
うーん。大便を体外に送り出す仕組みを、腸の「ぜん動運動」といいます。でもその「ぜん動運動」は、ある程度の量の大便がないとスムーズに行えないんですよ。
へぇ〜、そうなんですね。つまり大便が少なすぎると、カラダにとってかえって良くないわけですか。
ええ、私はそう思っています。だから栄養にならないような食物繊維をあえて食べるなどして、なるべく毎日、大便を滞りなく出す。そのほうがよっぽど健康的なカラダに近づくでしょうね。
なるほどなぁ。ということは、栄養として吸収できる食べ物以外も、ある程度しっかり食べたほうがいいということですか。
はい、そういうことになります。栄養素とは直接関係なくても、体内の「デトックス」に一役買ってくれる食べ物も取り入れる。それもカラダにとって大切なことだと思います。
そうですか。私は「カラダに良い食事をする=ほぼすべてが消化吸収される=大便が減る」、だから「健康になれる」という説を主張しようかと思っていたのですが…。どうやらそれは間違っていそうですね(笑)。
残念ながら今のところは違うんじゃないでしょうかね(笑)。
対談している二人
久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家
仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。