第38回 皆で作る「小さなまちなみ」

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第38回 皆で作る「小さなまちなみ」

安田

前回は「6棟分のお庭」の池についてお聞きしましたが、共有部分には季節ごとに収穫を楽しめる木が植えられているそうですね。


中島

そうなんです。もともと栗の木と八朔が植わっていたんですが、それに加えてブルーベリーやプラム、グミの木ユスラウメといった食べられる果実の木を植えています。

安田

へぇ〜。そんなにいろんな種類があったら、一年中何かしら収穫できそうですね。


中島

ええ。木が成長して実がなるようになったら、春先から秋まで収穫できるようになります。それに果実だけじゃなく、花や香りでも楽しんでいただけると思います。

安田

いいですねぇ。ブルーベリーやユスラウメを収穫してジャムを作ったり、秋になったら栗拾いをしたり。1つの家だと持て余してしまうかもしれませんけど、6つも家庭があると分け合えていいですよね。


中島

そうなんです。そもそも「皆で収穫する」というコンセプトに沿って植えさせてもらったもので。それぞれのお宅の敷地に植えられてはいるんですが、6棟の皆で育てて皆で収穫する、という風になればいいなと。

安田
なるほど。「おすそ分け」の文化を意図的に作り出しているわけですね。それならお隣さんとの関係性も作りやすそうです。ちなみに駐車場はそれぞれにあるんですか?

中島
はい。それぞれの家に2台ずつあります。道路に面した2棟は道路沿いに2台、奥の4棟は道路沿いに1台、敷地内に1台と分かれるような形で。
安田
ということは、奥の4棟は道路沿いと敷地内でセパレートになっているわけですね。

中島

そうです。景観だけを考えると、駐車場はすべて道路沿いにした方が収まりはいいんですが、実際に生活するとなると利便性も重要なので。結果、1台は中に入れるような作りにしました。

安田

荷物の上げ下ろしなんかは、その方が便利でしょうね。1台分を表側に確保したことで、お客さんが来た時にそこに停めることもできますし。


中島
ええ。そういう意味でも、景観を大事にしながら利便性もカバーできたんじゃないかと思います。
安田

なるほどなぁ。それにしても家づくりって、いろいろ考えないといけないから大変ですね。他にも工夫していることはありますか?


中島

いろいろありますが、例えば「お庭にコンクリートを使わない」ということですね。コンクリートを入れるとどうしても夏場は熱を持ってしまうので。あえて防草シートを敷かずに、わざと草をはやして暑さ対策をしたりします。

安田

へぇ〜、そんな方法があるんですね。とはいえ、そうなると雑草の手入れが大変そうですけど。


中島
そこにはグランドカバーという下草を植えていて、それがびっしりと生えてくれば、相対的に雑草の量は減ります。まったく草取りが必要ないというほどではないですが、手間はかなり軽減されるんじゃないかなと。
安田
へぇ〜、そんな草があるんですね。どれくらい手間が軽減されるんですか?

中島

今回だと敷地が350坪くらいなので、ちょっと気になったときに草を抜いていただく程度で大丈夫だと思いますね。

安田

なるほど。全体で350坪だと、1軒あたり50~60坪くらいですね。2人~3人家族で住むのにピッタリの大きさという感じです。ちなみにもう販売は開始されてるんですか?


中島
はい、4月から販売はスタートしていて、さらに6月に見学イベントを予定しています。日本中から建築屋さんも集まって、勉強会のようなこともする予定で。
安田
じゃあ興味がある方はその見学会に参加すれば、実際に現地も見れるわけですね。

中島
ええ。ぜひいがみ建築工房さんまでお問い合わせください。1棟は元々オーナーさんが住む前提で建てられているので、そこで生活されている雰囲気も感じていただけると思います。
安田
6棟いっきに建てる上で、工夫したところや苦労した部分なんかも聞けそうですね。面白そうだなぁ。

対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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