第24回 社長を退いた後は、「じいちゃん会社」を作る!?

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第24回 社長を退いた後は、「じいちゃん会社」を作る!?

安田

今日は「拡大」について話たいなと。事業、社員数、売上などなど、一般的に経営者は常に「拡大」を考えているものですが、西崎さんは「状況によっては踊り場を作ることも大事」だと考えているとか。


西崎

そうですね。まさに今がそういうタイミングなんです。成長スピードをちょっと落とそうという。

安田

へぇ。具体的にはどれくらい落とすんです?


西崎

今までは売上も社員数も毎年130%くらいの目標でやっていたんですが、今期は半分くらいの設定です。

安田

なるほど。ちなみになぜそういう判断をされたんですか?


西崎

一番は、仕事の難易度が上がってきた、ということですかね。良くも悪くも知名度がついてきて、お客様の期待値も上がっている。トゥモローゲートならすごいことをやってくれるだろうっていう。で、企業ブランディングって、やるべきフィールドはすごく深くて広い。ってなると、誰でもできる仕事じゃなくなってくるんですよ。

安田

ああ、「とりあえず飛び込み営業して受注してこい」みたいなものじゃなくなってくると。


西崎

そうですそうです。それでも以前なら23年経験すれば、ちゃんと売上を取ってくる社員になれた。でも今はそのスパンが長くなってきてるんです。もっと長く経験を積まないと、なかなか会社に貢献できない状況になっている。

安田

仕事の質が上がっているから、ということですね。ちなみに最近は、新卒で入社して3年以内に辞めちゃう人がものすごく多いって言われていますよね。それが事実なら、3年以内に回収できるビジネスモデルじゃないと厳しいってことになりませんか? まぁ、トゥモローゲートさんだとそんなに退職者も出ないかもしれませんが。


西崎

いやいや、そうでもなくて。この1年はまさにそれを痛感してました。

安田

へぇ、そうなんですか。


西崎

社員50人くらいまでは全然辞めなかったんです。でもやっぱりそこを超えると、目が行き届かない部分がやっぱり出てくるんでしょうね。今話に出ていた仕事の難易度が上がっているせいでもあるんでしょうけど。

安田

まぁ、世の中自体の変化もありますから。「一つの会社でずっと働き続ける」っていう人の方が今や少数派なわけで。「一つの会社に人生をかけるなんて危うい」と感じているんでしょう。


西崎

確かにそれもあると思うんですが、個人的にはそうじゃないパターンもあるなと感じていて。これはうちの退職者のことを言っているわけでは決してありませんが、そういう危機感というより、もう少し短絡的な理由で辞めてしまう人もいるんじゃないかなと。

安田

というのは、「なんか思ったよりしんどいから辞めちゃおう」というような感じですか。


西崎

そうそう。思ってたのとちょっと違うから次行こう、みたいな。

安田

確かにそういうケースもあるでしょうね。そう考えると若者の思考が2極化しているのかもしれません。ちゃんと人生設計してキャリアステップのために辞めていく人と、単に居心地が悪いから辞めていく人と。ただ厄介なのは、最近は後者の場合でも給与が上がっちゃったりするんですよ。


西崎

ああ、なるほど。どこも人手不足で、若い人を欲しがってますもんね。

安田

そうそう。だからやっぱり、退職というのはなかなか止められないと思うんですね。で、そうなるとね、毎年ガンガンに若手を補充していかない限り、会社の平均年齢が上がっていくでしょう?


西崎

そうですね。それはそうなるでしょうね。

安田

つまり時間がたつほど、国でいうと日本のような「年寄り国家」になっていく。そういう課題に対して、西崎さんはどんな手を打ちますか。


西崎

それで言うと、僕は将来的に、会社を分けていってもいいかなぁと思っていて。

安田

ほう、会社を分ける、ですか。


西崎

ええ。以前も少しお話しましたが、僕がトゥモローゲートの社長を続けられるのもあと10年くらいだろうと思っているんです。そうなったらもう若手に社長を任せて、僕と役員はスパッと退こうと。そして僕らだけで新しい会社を作るんです。

安田

なるほど、「じいちゃん会社」を別で作ると(笑)。


西崎

そうそう(笑)。で、僕らが60代になったらまた「60代のための会社」を作って。

安田

おもしろいですねぇ~。平均年齢60歳とか70歳の会社があってもいいですもんね。その年代にしかできない仕事って、絶対あると思いますし。


西崎

もちろん強制的に退職~入社させるわけじゃなく、本人に決めてもらいますけどね。ただ、会社としてそういう受け皿があるとおもしろいなぁと。

安田

ほんとですね。あらかじめそういう計画があるよ、と話しておけば、社員さんたちもポジティブに受け止めてくれそうですし。いや、10年後が楽しみです。

 


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数18万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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