第59回 住宅業界が新卒採用に力を入れている理由

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第59回 住宅業界が新卒採用に力を入れている理由

安田
内定率が過去最高と言われますよね。バブルの頃を超えたと。住宅業界は新卒採用が中心と仰ってましたが、その後変化はありましたか?

渡邉
それで言うと、この1年で新卒は全く採用できなくなりましたね。コロナが回復して各社の採用意欲が復活してきたので、就職ナビに出してもエントリーが1桁とか。
安田

ああ、そんなに厳しい状況なんですね。ちなみに住宅業界で新卒採用するとしたら今でも就職ナビが中心なんですか?


渡邉

あとはダイレクトマーケティングですね。データベースを見て、エージェントを通してスカウトするような。

安田

へぇ。採用できたら紹介料を払うというシステムですか。


渡邉
そうですそうです。他にもエージェントを通さずに、自分でデータベースを覗いて、よさそうな学生がいたら直接スカウトするようなサービスも出てきてますね。
安田
なるほど。一時は合同説明会に出展して、インターンを募集するようなやり方も流行りましたけど、今でもあります?

渡邉
それは今もありますね。インターンの時点で学生と接点を持っておかないと、最終的に採用ボリュームが稼げないので。
安田
なるほど。ちなみにランリグさんとしては、新卒を採用したい会社にはナビを勧めますか?

渡邉
ベースとしてナビに掲載しておく必要はあると思います。とはいえそれだけでは厳しいので、SNSやIndeedなんかも併用して、複合的にやった方がいいでしょうね。
安田
ふーむ、なるほど。昔は「ナビに掲載して合同説明会をやって、そこから独自の説明会へ誘導」というのが鉄板のパターンでしたけど、それではもう採用できないと。

渡邉
全くできないわけではありませんが、圧倒的に応募数が足りないんです。だからSNS運用したり、学校を回ったり、リファラルも当然やりつつ、採用ホームページを作って広告出稿する…そんな風にあらゆることを並行して進める必要があります。
安田
ははぁ、大変だ(笑)。でも、そこまでして採用した新卒の人たちって、ちゃんと定着します? 最近は大手でも3年以内に辞めちゃう子が非常に多いって聞きますけど。
渡邉

うーん、正直、業界全体として定着率は低いかもしれませんね。それこそ3年経った頃に半分が残っていればいい方という感じなので。体感で、5年後には3割、最終的に残るのは1割くらいですかね。

安田
ははぁ、なんとも辛い話です(笑)。あらゆることを必死でやって採用しても、定着するのが1割2割ということですよね。それで元が取れるんですか?

渡邉

取れることも全然あると思います。営業とかなら短い期間で一人前になりますし、戦力として活躍してもらえる期間は比較的長いと思うので。もっとも、「余裕で元取れてます」って話ではないと思いますけど(笑)。

安田

まぁ、働く側の感覚も変わりましたからね。一生その会社で働くというより、あくまでも「転職する前提でのキャリア作り」という感じで就職するので。


渡邉
「この会社に3~4年いて魅力的なキャリアが作れるのか」という目で見られるんですよね。逆に言えば、会社側もその視点に応えるようなPRをしていく必要があると。
安田

仰るとおりですね。しかもそれが単なるPRではなく、実情を伴った内容じゃなきゃいけない。今の子って本当にシビアなので、実際に入社してみて「思ってたほどのキャリアにならないぞ」となったら、その場で辞めてしまったりしますから。


渡邉
確かに。ただ僕自身の体感で言うと、確かにキャリアアップを求めている人も増えてはいるんですが、人間関係を重視している人も多いなという印象で。
安田

へぇ、なるほど。「すごいキャリアアップができるわけじゃないけど、社内でいい関係性が築けているから辞めない」って人もいると。


渡邉
そうなんです。「この会社の人たちが好き」とか「チームの仲がめちゃくちゃいい」とか。そういう会社の定着率は依然高いですよね。
安田

なるほどなぁ。要するに定着の理由は「スキルアップ」に限らないってことですね。いろんな人がいて、いろんな基準で定着するかどうかを判断していると。

渡邉
そうそう。そういう意味では、まだ社会に慣れていない新卒より、第二新卒なんかの方がその基準は明確なんでしょうね。「私はスキルアップ重視だ」「私は人間関係が一番大事だ」ってわかってくるというか。
安田

まさにそうなんです。だから私なんかは、「なんでそこまで新卒にこだわるんだろう」って不思議に思うんですよ。業界未経験の第二新卒なんかを狙った方がはるかに効率がいいんじゃないかって。

渡邉
仰る通りだとは思うんですけど…まぁ、今の住宅業界の現状からすると、人が足りなさ過ぎて、ターゲットを狭めたくないっていう感覚があるんだと思います。
安田

なるほど。ピンポイントで狙いに行く中途より、幅広いターゲットにアプローチできる新卒の方がいいと。

渡邉
そういうことだと思いますね。もちろん新卒も中途も両方できればベストなんですけど。業界全体として、売上を生み出すための費用はかけやすいんですけど、採用に関しては少ない傾向にあるので。
安田

なるほど。業界内での採用の捉え方によるところが大きいわけですね。


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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