「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。
第31回 「稼げる人」と「稼げない人」は何が違う?
今回は「人材」についてフォーカスしていきたいんですが、世の中には「稼げる人」と「稼げない人」がいるじゃないですか。これって何が違うんだと思います? 生まれながらの才能や育った環境のおかげなのか、あるいは教え方次第では誰でも「稼げる人」になれるのか。
どうでしょうね。採用関係の仕事を長く続けていると、「やっぱり素材は大事だなぁ」と思うことはよくあります。そういう意味で、前者の影響はかなり大きいんじゃないでしょうか。
ふーむ、つまり、才能や環境がなかった人がいくら努力しても「稼げる人」にはなれないと。
一般論として、なかなか難しいケースが多いだろうなと。ただ、そうは言っても例外はあると思っていて、その実例が他でもない僕自身なんです。何しろ昔は僕、営業成績ドベでしたから(笑)。
えっ、そうなんですか? 元からめちゃくちゃ優秀な人のイメージですけど。
ありがとうございます(笑)。でも全然ダメでした。もちろん営業成績が悪い=できない人材ってわけじゃないんですけど、少なくとも「稼げる人」ではなかったですね。営業に適性がなかったというか。
ふーむ、信じられないな。
いやいや、本当に(笑)。お客さんのところに行っても、喋れない、質問できない、提案できない、って「ないない尽くし」でしたから。それを考えると今は随分よくなりました。
まぁ、社会人なりたての頃は大なり小なり皆そういうものですけどね。でもそこからスキルを身に着け、自分の型を作っていける人と、全然ものにならない人に分かれていく。この差は一体何なんだろう、というのが気になる所で。
もちろん色々な要因があると思いますし、冒頭お伝えしたように「素材」の良さは関係していると思います。でも、それを一旦置くとすると、やっぱり「行動力の差」なんじゃないですかね。行動しないと何も変わりませんから。
なるほど。ちなみに自分がダメだった頃を振り返ってみても、行動量が足りなかったなと思いますか。
思いますねぇ。当時は時間があれば「トークスクリプト」ばかり考えてたんですよ。どう言えば断られないか、ってことばかりこねくり回していて、肝心のアポには全然行かない(笑)。それじゃ売れようがないですよ。
そりゃそうだ(笑)。確かに考える前に動いちゃう人、ひたすらテレアポしたり飛び込み営業したりできる人の方が、バッと売れたりしますもんね。でもね、私はそれにも限界があると思うんですよ。行動量だけあっても、どこかで頭打ちになる。
ああ、確かに。行動だけではどうしようもない仕事はありますからね。
そうそう。「頭でっかちはダメ」というのはわかりますが、同じくらい「考えないのもダメ」だと思っていて。例えば中小企業の社長さんでもね、誰よりも早く朝会社行って遅くまで働いてるけど、なぜか全然儲からないって人、たくさんいますよ。
うーん、朝早くに出社するかどうかはあんまり売上に関係ない気もしますけどね(笑)。
まさにその通りで、だから「頭を使えてない」んです。とにかく長時間働けば儲かると思い込んでしまっている。そういう人はむしろ一旦落ち着いて、つまり行動を止めてでも、じっくり作戦を練る方が重要な気がして。
そうですね。曲がりなりにも僕が普通以上に稼げる人になれたのは、行動を通じて得たいろいろな経験やノウハウを、頭を使って行動に落とし込めたからだと思います。そう言うと、「行動量も思考も両方大事」っていうつまらない答えになっちゃいますけど。
というかね、私は昔から「考える時間だって行動じゃないか」と思っているんです。たとえば将棋のプロは、訓練をするときに別に体を動かすわけじゃない。じっと将棋盤を見て考えているだけです。でもそれって立派な「行動」じゃないですか。
確かにそうですね。行動と思考でバツっと分かれるわけじゃない。逆に言えば、電話をかけたり営業に行ったり、体を動かすような「行動」をしているときでも、「どうやったらうまくいくだろう」って思考しながらやるわけで。
そうそう。それができる人が要するに「稼げる人」になっていくんでしょうね。でも世の中には、意外と本当に「何も考えずビジネスをやっちゃう人」っているんです。何も考えず始めて、半年くらい1円も稼げずに「ダメだこりゃ」って辞めちゃう。
ああ~、なるほど。
端から見れば「そりゃ稼げないでしょうよ」っていう話なんですけど(笑)。
でも今日はすごい発見になりましたよ。行動と思考って完全に別ということじゃなくて、行動しながら思考して、思考したことを行動に反映して、って、同時にうまくやっていく、繋げていくのが大事なんですね。
対談している二人
西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社 代表取締役 最高経営責任者
1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。