第75回 売り込み下手な人がすぐに実践できる「営業のコツ」

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第75回 売り込み下手な人がすぐに実践できる「営業のコツ」

安田

今日は中辻さんの考える「営業のコツ」について、いろいろとお聞きしたいと思います。というのも、中辻さんって誰かに何かを提案するのがものすごくお上手じゃないですか。


中辻

え〜そうですか? そう言っていただけると嬉しいです。ありがとうございます(笑)。

安田

営業マンだったわけでもないのに超上手ですよ。でもフリーランスの人…コピーライターとかデザイナーとかの中には、すごく高いスキルを持っているのに、売り込むのが下手な人が多い気がしていて。


中辻

あぁ、確かにクリエイティブな仕事をしている方って、そういうのが苦手そうなイメージありますね(笑)。

安田

そういった「売り込むのが下手な人」たちに、中辻さんからアドバイスをいただけませんか?


中辻

そうですねぇ…まずは「自分ができること」や「それをすることでどんな効果があるか」をちゃんと発信していくべきなのかなと思います。そこさえしっかり出しておいてくれたら、たとえ営業が苦手な人とか口下手な人でも、「ちょっと問い合わせてみようかな」と思ってもらえるんじゃないかな。

安田

なるほど。自分がやれることや得意なことをしっかり明示しておけば、依頼する方も声をかけやすいと。


中辻

そうそう。その人が何ができるのかわからないと、こっちからも声をかけようがないじゃないですか。

安田

そうなんですよ。「自分が何者か」ということをきっちりと発信していくことが、実はすでに営業の一環なんですよね。実際にお客さんに会ってから営業がスタートするわけじゃない。


中辻

ええ。でも、それでもやっぱり営業が苦手なんだったら、無理して営業活動をしなくていいと思うなぁ。

安田

え、営業しなくていいんですか?


中辻

はい。そのかわり、もらった仕事を120%の力でやればいいと思います。本気の力で、自分のWebサイトを作ったり何かの記事を書いたりしていれば、それは絶対誰かの目に留まり、お客さん側から問い合わせてくれる可能性もあるんじゃないでしょうか。

安田

なるほどなぁ。ただいくら「もらった仕事を全力でやる」と言われても、たいしたギャラをもらっていなければ「これ以上の力を出してしまうとちょっと割に合わないな」と考えちゃうと思うんですよね。


中辻

それは私もあります。いっぱいあります(笑)。

安田

やっぱり、ありますよね?(笑) そういう時はどうされているんですか?


中辻

それでも全力でやります。本音は「そこまでやりたいんやったら、追加料金を払ってほしい」と思いますけど(笑)、もっとクオリティの高いものが納品できるってわかっているのに、プラスのお金をもらえないからまあいいや、とそのまま納品してしまうのはよくないかな、と。

安田

「この程度の仕事しかできないのか」と思われたくない、と?(笑)


中辻

まさにそうです(笑)。「自分の作品」として世の中に出せるレベルじゃないと嫌じゃないですか。それを「これ以上やったら赤字になる」なんて理由でクオリティ低いまま納品することができちゃう人は、たぶんクリエイティブなお仕事は向いていないと思いますね。

安田

なるほどなるほど。ちなみにクリエイティブな仕事をしている人って、よく友達や知り合いから「ちょっと安くやってよ」とか「無料でやってくれない?」と頼まれることが多いそうなんです。中辻さんはそういうのどう思います?


中辻

自分がやってあげたいと思うんであれば、引き受ければいいんじゃないでしょうか。でもやるからには、ちゃんと本気で取り組むべきだと思います。

安田

たとえギャラがなくても、自分がやってあげたいと思うのであれば120%の力でやるべきだと。仕事と同じスタンスでやるわけですね。


中辻

そうですそうです。逆に言えば、自分がそこまでしてもやってあげたい、と思う人からの頼みしか受けない方がいいんじゃないかな。例えばいつもよくしてくれるネイリストさんがフライヤーを作るのに困っていたら、手伝ってあげようと思える。でも、関係性の薄い人から「ポスティング用のチラシ、ちゃちゃっと作ってよ〜」とか言われたら、たぶんお断りしちゃう(笑)。

安田

相手との関係性によって引き受けるかどうかを決めるわけですね。そして引き受けると決めたのであれば全力でやる、と。なるほど、わかりやすい。ちなみに中辻さんはどうですか? 友達に「タダでやってよ」って言います?


中辻

言いませんよ、言わない言わない(笑)。友達が持っているスキルを求めて依頼するわけだから、私はそのスキルやモノに対してしっかりと費用を払いたい派です。

安田

素晴らしい(笑)。「お金払いたくないから、多少クオリティが落ちても友達に頼んでやってもらおう」なんていうのは、そもそも失礼な話ですもんね(笑)。


中辻

本当にそうですよ。友達だからこそ、ちゃんと対価を払うべきだと思います。

安田

同感です。それでは最後に「売り込み下手な人」が自分のことを発信するコツを教えていただけますか?


中辻

言葉としてうまく語れなくてもいいので、自己アピールができるようなアイテムを持っておくと良いと思います。ポートフォリオだったりホームページだったり、「私はこういうことができます」というのがよくわかるような作品を。

安田

そういえば中辻さんも、ペイント王面接の時に、いろんな作品を持ってきて見せてくれましたよね!


中辻

そうですそうです。ただあの時のものはだいぶクオリティが低かったですけど(笑)。

安田

いやいや、素晴らしかったですよ。そういう「自己アピールのための作品」を作っていくことから、自分の売り込み・営業は始まっているということですね。なるほど、よくわかりました。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

Twitter

1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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