人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第41回 「自責思考」の育て方

そうですね。以前、悩みの質についてもお話しましたけど、自責思考の方が人生の幸福度も高いと思います。

そうですよね。一方で、他責思考になってしまっても仕方ないんじゃないか、という場合もある。例えば就職氷河期世代は、他の年代に比べて明らかに厳しい状況だった。こういう中では皆が「世の中のせいだ…」と他責思考になってもおかしくない気はするんですよ。

そう思います。どちらかというと、生まれつきの癖に近いくらい、物心つく頃にはすでに備わっているものかもしれません。そもそも自分が恵まれているかどうかなんて、比較対象次第でどうとでも言えてしまう。例えば戦争中の人々と比べたら、氷河期世代だって十分に恵まれているわけで。

確かになぁ。つまり、「どこに焦点を当てるか」なんでしょうね。松下幸之助さんも「恵まれない環境に生まれたことが、実は恵まれていたんだ」と言っていますし。貧しさや体の弱さといった「恵まれない環境」こそが彼を強く育てることになった。

なるほど。ちなみに私はというと、恵まれてなかったというよりもとにかく苦手なことが多くて。学校では勉強どころか音楽や体育、美術に至るまですべてが苦手で、テストは0点ばかり、走るのも遅い。性格は暗いし嘘ばかりつく嫌われ者でした(笑)。

ははぁ、なるほど。確かに周囲にどんな人がいるかで捉え方って変わりますもんね。ちなみに私も、勉強も運動も苦手で、喧嘩も弱かったんです。そして安田さんと違って「なんて自分は恵まれていないんだ」と思っていた(笑)。

そうそう。本当にそうなんです。自責思考の方が損得で考えても圧倒的に得だし、人生が楽しくなりますよ。私も20年間オーナー社長をやったことで、さらに自責思考が確固たるものになった実感があります。社長業って誰のせいにもできないポジションですから。

仰るとおりですね。「ES(従業員満足度)」の観点で言っても、まずは社長が自責思考になって、さらにそれを従業員に伝えていくことが重要な気がします。「自責思考の方が人生の幸福度は上がるんだよ」と啓蒙していくというか。

その通りなんですよね。他責思考の人は「人のせいにしていたら不幸にならずにすむ」と思っているのかもしれませんが、むしろそれ逆なんですよね。自分を幸せにできるのは自分だけなのに、そのパワーを自ら放棄してしまっている。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。