第77回 価格競争を超える付加価値のある家づくり

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第77回 価格競争を超える付加価値のある家づくり

安田

一条工務店さんってご存知ですか? 知人の岐阜の庭師さんとコラボをすることになったそうなんです。


渡邉

すごいですね。全国で5千億くらい売上のある大手ハウスメーカーさんですよ。年間数千棟は建ててるんじゃないかな。

安田

ああ、やっぱり大手なんですね。庭師さん曰く、岐阜県内だけでも年間200棟くらい建てている会社さんらしいです。しかも、今回のコラボは向こうから声をかけてもらったそうで。


渡邉

へぇ! それはすごいなぁ。

安田

「お庭も自由に提案してほしい」という条件らしいので、すごく信頼されてますよね。庭師さんとしてもすごくやりがいのある仕事だと仰っていて。


渡邉

それはそうでしょうね。普通、下請けだと指定された範囲でしか仕事ができないし、予算も抑えられることが多いですから。それにしても、ハウスメーカーがそこまでお庭に力を入れるのは珍しいですよ。

安田

そうですよね。だからどんな会社なんだろうと興味がわいて。


渡邉

そもそも一条工務店さんって、家の性能に特化した会社さんなんです。

安田

へぇ。家の性能というと、例えば「耐震」とか「断熱」とかですか?


渡邉

そうですそうです。「性能で選ぶなら一条工務店」っていうブランディングをしてます。もっとも、最近はどこでもある程度性能の高い家が建てられるようになってきました。だからそれだけでは差別化が難しくなってきた、という背景もあるんでしょう。

安田

ふ〜む、なるほどなぁ。確かに国の基準も年々厳しくなってますからね。


渡邉

そうそう。その結果、性能だけじゃなく、空間の使い方や生活提案にも力を入れるようになったんだと思います。いわゆる「モノ売り」から「コト売り」へとシフトしているんでしょうね。お庭の提案もその一環でしょう。

安田

「一条工務店で家を建てると、こんな素敵なお庭もついてきますよ」というわけですね。単なる家づくりだけじゃなくて、生活全体を提案する感じというか。

渡邉

その通りです。家だけではなく、家での暮らし方全体を提案する。それが今のハウスメーカーの流れです。一条工務店さんもそうした付加価値を取り入れることで、さらに高いブランド力を確立しようとしているんだと思います。

安田

なるほどなぁ。一方で世の中を見てみると、庭を作り込むどころか、駐車場スペースにアルミのカーポートを付けて門柱を立てて終わり、というお家も多いですよね。でもそれでは味気ないと思うんです。


渡邉

同感です。それに「いいお庭を作りたい」というニーズ自体は今もありますから。特に一条工務店を選ぶお客さんなら多少高くてもこだわった家を作りたがるでしょうから、今回のコラボはすごく理にかなっていると思いますね。

安田

ええ、まさにそこにフィットしたんだと思います。車の出し入れなどの利便性は担保しつつ、四季が感じられるような「現代風の庭づくり」が得意な庭師さんなので。


渡邉

ははぁ、なるほど。ハウスメーカーもそういう庭づくりができる人に対してアンテナを張るようになったんですね。いい傾向だと思います。

安田

確かに。そう考えると、庭師さんも平均的なスタイルばかりやるのではなく、「ウチならこんな庭が作れるよ」と差別化をしていった方がいいのかもしれませんね。


渡邉

そう思います。住宅の方も、ローコスト住宅のような安さ重視のハウスメーカーばかりじゃなくて、それこそ一条工務店さんのように「付加価値のある庭」を追求しているところもあるでしょうから。

安田

うんうん。そういうところと組んでいければいいんですよね。でもハウスメーカーとしては、「予算はなるべく建物に回したい」ってのが本音なんじゃないかなぁ。


渡邉

確かにそれはそうかもしれませんが、今は特に新築市場が縮小していて、単に家を売るだけでは厳しい状況になっているんです。それを打開するには、高い価格でも納得してもらえる「提案力」が必要になってきているんだと思いますよ。

安田

ははぁ、なるほど。庭のクオリティアップもその一つだということですね。お庭のような職人の技術が求められるものだと、さらにワンランクアップした提案ができる気がします。

渡邉

ああ、確かにそうですね。これからは「価値の高い家を求める層」と「より安い家を求める層」で、ますます二極化が広がっていくんでしょうね。


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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