売る人とつくる人

国家の時代、会社の時代の次は、
個の時代になると言われている。
一人ひとりが全体と繋がれる仕組み、
すなわちネットというインフラが、
それを可能にするだろう。

個の時代はコラボの時代になる、
というのが私の未来予想である。
確かにインフラは個を自由にする。
選択の幅もグッと広がる。
家に居ながら仕事ができ、商談ができ、会議もできる。
買い物も、映画も、友人とのコミュニケーションも、
スマホひとつあれば完結してしまう。

とはいえ、やはり人間には組織が必要だ。
人はひとりでは鉛筆1本つくることが出来ない。
自分ひとりで商品をつくり、自分ひとりで販売し、
自分ひとりで納品する。
理論的には可能であるが、
現実的にこれで食べていける人は稀だろう。

そこで起こるであろうと予想しているのが、
コラボレーションという波である。
ひとりでつくり、ひとりで売り、
ひとりで納品するのは簡単ではない。
個と個が繋がって役割分担することで、
それぞれの負担を軽減していく仕組み。

それのどこが新しいのだ?とよく聞かれる。
そもそも会社とは役割分担の場であるし、
会社同士も取引という形でコラボしている
ではないかと。仰る通りである。
コラボ自体は決して新しいものではない。
私が新しいと考えているのはそのカタチである。

個と個が直接結びつくという形態。
これ自体は別に新しいものではない。
業界によってはずっと前からある慣習だ。
たとえばクリエイティブ業界では、
プロジェクトごとに個が集まるのは普通のことである。

では何が新しいのか。
それは役割を分担しない役割分担というカタチである。
典型的な例がつくる人と売る人という役割分担。
私はつくります。あなたが売ってください。
私が売ります。あなたが納品してください。
たとえ個人同士であったとしても、
このカタチはもう古い。

例えばいちご大福は和菓子と果物のコラボである。
だが和菓子屋には売っていても果物屋には売っていない。
これでは新時代のコラボにはならない。
一人ひとりが自分の店を持ち、情報を発信し、集客する。
一人ひとりが自分の商品を持ち、納品にも責任を持つ。

そういう自立した個人同士のコラボレーション。
それが新時代のコラボなのだ。
ひとりで完結するならコラボは要らないではないか、
と言われそうである。だがそれは間違いだ。
コラボすることで個のビジネスは
大きく飛躍するのである。

 

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