地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第40回 「繁忙期のコントロール」で、オンラインショップも実現可能?

そうですね、ありがとうございます(笑)。僕らとしても「マス」にいかに売れるようになるかということはずっと課題感として持っていて。そういう意味ではネットの世界って「究極のマス」なんですよね。だからそこに力を入れなくては…と思いつつ、なかなか手がつけられていなくて。

なるほど(笑)。とはいえ、これまでに40回にわたって対談をやってきたことで、『ハーベストタイム』のケーキや『スギタベーカリー』のパンに興味を持ってくださっている方って多いと思うんですよ。

でもいざ「食べてみたい」と思った時に、実際に食べに行けるのって県外からだとせいぜい岡山県くらいまでだろうと思うんです(笑)。だからこそ全国の人にスギタさんの作るお菓子やパンを味わってもらえる販売チャネルを作るべきなんじゃないでしょうか。

そうなんですよ。ただ「製造」に関してはなかなか難しい面もあるとは思います。例えばシュトーレンだって、店頭販売用のものを作るだけでもわりと大変だと思うんです。それをオンラインで販売することになったら、たぶんお店で売れる2倍、3倍が売れるはずで。

ケーキ屋さんの忙しい時期と、楽天市場が忙しい時期とが、完全に被ってしまっていたんです。こちらとしては通年で売れて欲しいという思いでネット販売を始めてみたのに、結局は「よく売れる時期」が一緒だったんですよ。それでスタッフ皆、完全に疲弊しちゃいまして…。

笑。そういえば以前の対談で、年間を通じてシュトーレンを販売するのはどうかっていうお話もしていましたよね。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。