第40回 「繁忙期のコントロール」で、オンラインショップも実現可能?

この対談について

地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。

第40回 「繁忙期のコントロール」で、オンラインショップも実現可能?

安田

今日の対談では「オンラインショップ構想」についてお聞きしたいと思っておりまして。というのも、私はスギタさんの作るシュトーレンバターラスク、焼き菓子などをネットで買えるようにしてほしいと言い続けてきているじゃないですか(笑)。


スギタ

そうですね、ありがとうございます(笑)。僕らとしても「マス」にいかに売れるようになるかということはずっと課題感として持っていて。そういう意味ではネットの世界って「究極のマス」なんですよね。だからそこに力を入れなくては…と思いつつ、なかなか手がつけられていなくて。

安田

構想くらいは進んでいるんですか?


スギタ

いえ、全然進んでません(笑)。「やりたいね〜」と言いつつ、全く進んでいなくて。

安田

あら(笑)。ちなみに進められていない一番の理由ってなんなんでしょうか? やっぱり実店舗での作業が忙しいからですか。


スギタ

それもありますけど、単純にネットショップを担当できる人材がいないというのが大きいです。僕ら、ケーキしか作れないので(笑)。

安田

なるほど(笑)。とはいえ、これまでに40回にわたって対談をやってきたことで、『ハーベストタイム』のケーキや『スギタベーカリー』のパンに興味を持ってくださっている方って多いと思うんですよ。


スギタ

そう思っていただけるとありがたいですね。

安田

でもいざ「食べてみたい」と思った時に、実際に食べに行けるのって県外からだとせいぜい岡山県くらいまでだろうと思うんです(笑)。だからこそ全国の人にスギタさんの作るお菓子やパンを味わってもらえる販売チャネルを作るべきなんじゃないでしょうか。


スギタ

いやぁ…まさに仰るとおりで(笑)。今ってオンラインショップ自体はほとんどコストをかけずに作れるみたいですしね。

安田

そうなんですよ。ただ「製造」に関してはなかなか難しい面もあるとは思います。例えばシュトーレンだって、店頭販売用のものを作るだけでもわりと大変だと思うんです。それをオンラインで販売することになったら、たぶんお店で売れる2倍、3倍が売れるはずで。


スギタ

全国に向けて販売するわけですから、そうなる可能性は高いですよね。

安田

ええ。しかも売れたら梱包して発送する作業も加わるわけですよ。その辺りはどうでしょう。やろうと思えばできそうですか?


スギタ

シュトーレンに関して言えば、わりと早い時期から製造に入れますので、時期をずらしていけば不可能ではないと思います。

安田

ふむふむ。じゃあ私の大好きなラスクはどうです?


スギタ

ラスクもできると思います。…ただ、実は過去にチョコレートの商品を楽天市場に出したことがありまして。でも全然うまくいかなかったんですよね。

安田

そうだったんですか! それはまたどうして?


スギタ

ケーキ屋さんの忙しい時期と、楽天市場が忙しい時期とが、完全に被ってしまっていたんです。こちらとしては通年で売れて欲しいという思いでネット販売を始めてみたのに、結局は「よく売れる時期」が一緒だったんですよ。それでスタッフ皆、完全に疲弊しちゃいまして…。

安田

なるほど。ちなみに繁忙期が重なってしまったのって、何月頃だったんですか?


スギタ

12月、2月、3月でした。

安田

じゃあその時期だけ値段を上げればいいじゃないですか。


スギタ

え、その時だけ値段を上げるんですか?

安田

そうそう。なにも通年同じ値段で売る必要はないんですよ。だって今、ディズニーランドだって曜日や時期によって入場チケットの値段が違う時代ですよ?(笑)


スギタ

え、そうなんですか! それは知らなかった(笑)。

安田

今や世界的にそういったプライシングをすることが一般的になっています。ニーズがある時には値上げするのが当たり前になってきている。ある意味、繁忙期をお店側がコントロールするといいますか。


スギタ

ははぁ…面白いなぁ。その発想はなかったです。

安田

そういうことも踏まえて、ぜひ一緒にオンラインショップ構想をやりましょう! というか私自身も年間を通してスギタさんのシュトーレンやラスクが食べたいんですよ(笑)。


スギタ

笑。そういえば以前の対談で、年間を通じてシュトーレンを販売するのはどうかっていうお話もしていましたよね。

安田

しましたね。3ヶ月に1回くらいのペースでシュトーレンが送られてくるセットを作って欲しいです。そこにラスクも加えたパッケージ商品も、絶対売れると思いますよ!


スギタ

そうですね…。せっかくのタイミングなので、ちょっと本腰を入れて「オンラインショップ」について考えていきたいと思います!


対談している二人

スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役

1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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