第49回 ブランド力さえあれば給与は低くてもいい?

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第49回 ブランド力さえあれば給与は低くてもいい?

安田

「新卒の初任給が30万円を超える」なんて話も出てくる時代ですが、トゥモローゲートさんは今後どうしていくご予定ですか? 人件費はガンガン上げていく?


西崎

まぁ人件費は確実に上がっていくでしょうね。ただ、そうするには当然、それ以上に売上が伸びていなければいけないわけで。

安田

そりゃそうですよね。でもそこで多くの会社が苦労している。要は、賃上げをしたくても、業績も良くないから原資がないわけですよ。トゥモローゲートさんとしてはそのあたり、どう乗り越えていく予定ですか。


西崎

一言で言うなら、「ブランド力」という話になるんじゃないですかね。ブランドが確立していて、他では得られない価値を提供できていれば、適正な売上が作れると思っています。

安田

なるほど。実際トゥモローゲートさんはそういう立ち位置で、業績的にも採用的にも成功されていますもんね。ちなみに、ブランド力さえあれば給与はある程度低くても人は集まると思います?


西崎

いや~、無理だと思いますね。そういう感覚は一切ないです。

安田

やっぱり相応の給与額を提示しないと人は集まりませんか。


西崎

そう思います。どれだけ魅力的なビジョンを掲げていても、知名度が高くても、夢とかやりがいとかだけで引っ張っていくのはもう無理でしょう。それくらい全体的に待遇が上がってきているので。

安田

確かにね。実際今なんて、「転職したら年収が100万円以上アップした」なんて話も珍しくないですし。つまり西崎さんは、ブランド力を高めていく一方で、社員の待遇もしっかり上げていく必要がある、と考えているわけですね。


西崎

ええ。両軸必要だと思いますね。

安田

まぁ実際、「ブランド力は高いけど給与は安い」って会社、あんまり見ないですもんね。ブランド力が高い会社は、ちゃんと給与も高い。


西崎

そうそう。やっぱりいい会社は業績も伸びてるんですよ。利益がしっかり出ているから、給与含めた待遇もどんどんよくしていけるわけで。

安田

確かにそうですね。ちなみにトゥモローゲートさんとして「最低このラインは維持したい」みたいな基準ってあるんですか? 例えば「世の中の平均よりは常に高い月収にする」とか。


西崎

明確に決めているわけではないですけど、最低それくらいじゃないといい組織は作れないだろうと思いますね。

安田

なるほど。ちなみにクライアントの採用についてアドバイスすることも多いと思うんですけど、「月給は最低でも◯万円以上にしてください」みたいなことまで言ったりするんですか?


西崎

言うことはありますよ。もっとも、ただ月給だけ上げても意味がないというか。

安田

ん? どういうことです?


西崎

僕、お金ってやっぱり怖いものだと思うんです。どこか麻薬に似ているというか、1回もらっちゃうと人ってその額にすぐ慣れちゃう。次からはもっとたくさんもらわないと嬉しくなくなっちゃうんです。

安田

ああ、そうですね。私も前の会社の時に社員がそうなるのを見ました。つまり、意味も理由もなく月給を上げるのはよくないと?


西崎

もちろん世の中の指標に合わせにいく姿勢は重要です。ただ、できれば「こういう成果を出してくれたから◯万円アップする」という形にした方がいい。そうじゃないと、せっかく賃上げしてもそれが社員の身にならないというか。

安田

なるほど。そのあたりの塩梅が大事なんでしょうね。でも逆に言えば、すごく成果を出してくれそうな人が来たら、最初から高い給与を払うこともあり得るってことですか。例えば年収1500万円の実力がある人だったら、それをちゃんと払いますか。


西崎

払いますね。もっとも、働いてみないとわからない部分もあるので、見極めは必要だと思いますけどね。

安田

そうですよね。いや、こうして話していてもやっぱり西崎さんはバランス感覚がいいですよね。だからトゥモローゲートは成功しているんだと思います。

 


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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