第52回 「楽してお金を稼ぐ」のは悪いことですか?

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第52回 「楽してお金を稼ぐ」のは悪いことですか?

安田

「楽してお金を稼ぐ」っていうことを、悪いことだと思ってる人がいるじゃないですか。そればかりか、「たくさん稼いでる人は何か悪いことしてる」みたいな風潮まである。これについてどう思います?


西崎

そうですねぇ。もちろんどんな事業でいくら稼いでいるか、によるんでしょうけど。でも、悪いことをしない前提で、その上で楽して稼げるならその方がいいよねっていう感覚です。

安田

そうですよね。でもさっき言ったように「お金儲は苦労して汗水たらして稼いでナンボだ」という考え方がまだある。ただね、私から言わせると、そういう意見の人ほど稼ぐのに苦労しているように見えるんですよ。「楽して稼いで何が悪い」って人の方がたくさん稼いでる気がして。


西崎

うーん、それは僕あんまり感じたことないかもしれない。というか、いきなり楽に稼げる人ってそんなにいないと思っていて。今ガンガン稼いでいる経営者も、起業してすぐの頃は本当に大変だったってケースがほとんどだと思いますよ。

安田

なるほどなるほど。続ける中でだんだん楽になっていったと。確かに仰る通りなんだと思うんですが、やっぱり私は「日本人はお金のことをありがたがり過ぎだ」って思ってしまうんです。よく言うじゃないですか、「1円を笑う者は1円に泣く」とかね。でもお金って本来、物と交換するだけの道具でしかないわけですよ。


西崎

確かにそうとも言えますよね。ただ持っているだけでは意味がないというか。

安田

そうそう。さっき言った「楽して稼ぐな」という人は、お金を神聖視し過ぎている気がするんです。お金自体が偉いわけじゃなくて、それをどう使うかが重要なのに。


西崎

確かに僕の周りの稼いでいる経営者さんも、あんまりお金を溜め込もうとしませんね。稼いだお金はどんどん新しいことに投資していく。結果、知らない人と出会えたりとか、貴重な経験ができたりして、それによってさらに儲けが大きくなっていくというか。

安田

よくわかります。そしてお金を大事にし過ぎる人って、逆に時間をおそろかにしていることが多いんです。先日もクリスマスケーキのニュースを見て驚いてしまったんですが、最近はホールケーキがなかなか高くて、5000円とか6000円とかするんですって。


西崎

ふ〜む。でもちゃんとしたケーキならそれくらいするんじゃないですかね。

安田

私もそう思うんですが、「そんなに高いケーキは買えない」という人もいると。じゃあどうするかというと、スーパーに行って材料を買ってきて、自分で作るんですって。それだと3000円くらいですごくいいものが作れると。でも私からすると、材料費は3000円でも、スーパーに行ったりケーキを作るのにすごく時間がかかってるじゃないかと。


西崎

ああ、なるほど。むしろそれって割高じゃないのっていうことですよね。仰っている意味はすごくよくわかります。

安田

そうなんです。時間だって資産だということをわかっていないんです。もちろんケーキ作り自体が楽しいんだ、割高だろうがその時間に価値があるんだって人は別ですよ。でも、「よし、これで損せずにすんだ」と思うのは違うだろうと。


西崎

まぁ、いろんな方がいますから、何とも言えませんけれど(笑)。でも僕自身は割と時間をお金で買ってしまうタイプですね。あまり稼げていなかった会社員時代からガンガンにタクシー乗ってましたし。

安田

へえ。でもそれは会社から経費が出るからでしょう?


西崎

いえ、出ない頃から乗ってました。徒歩や電車より早いし、場合によっては車内で仕事もできちゃうので、先行投資だと思って自腹で。

安田

そうなんですか! それはすごいなぁ。ということは、新幹線とかも当然グリーンで?


西崎

でしたね(笑)。入社2年目くらいから勝手に乗ってました。だからどんどん手取りは減っていくんですけど、そこで得た快適な時間で企画書作ったり営業したりすることで、結局はより大きな額が回収できる。そういう感覚は当時からありました。

安田

さすがですね。そういう思考を持って行動できる人ほど、最終的に「楽に稼げる」ようになっていくんでしょうね。

 

 


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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