地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第42回 洋菓子好きが描くどら焼きの新たな未来

ああ、そうか。そう考えるとお団子は別に嫌いじゃないんですよね。お菓子というよりはご飯の延長のような、小腹が減った時のおやつという感じがします。みたらし団子は特に好きですし。あ、でもあんこの団子は苦手かもしれない。

まぁそうですね(笑)。ともあれ、和菓子と洋菓子ではそもそも表現する方向性が全く違うというか。例えば先ほど安田さんが仰ったような、お茶請けの和菓子として練り切りとかあるじゃないですか。

そうそう。あれは白あんをベースに作ってるんだと思うんです。そう考えると和菓子って、小豆とかインゲン豆とか、豆を砂糖で炊いたものがよく使われますよね。洋菓子にはそもそも豆って使わないので、その辺のスタートラインが大きく違う気がします。

あとは求肥のようなモチモチしたものもお好きな方は多いですよね。ちなみに求肥は洋菓子に和のテイストを入れようとするときに使われることもあるんですよ。抹茶やほうじ茶などのお茶系のスイーツとか。

というのも、どら焼きの皮が焼かれてるのを見ると、すごくおいしそうだなと思うんですけど、あんこが挟まってしまうとどうも惹かれなくなってしまって。中だけ洋風に変えて「洋風どら焼き」があったらいいなと。

うーん、確かに。オムレットのように生クリームやフルーツを挟むだけだとちょっと物足りないんだよなぁ。

そうですよね。例えばマジパンを挟むのはどうですか?

マジパンをそのまま挟むのはちょっと重たすぎるかもしれませんね。あれはシュトーレンのような焼き菓子に入れるとちょうどいいバランスだと思うので。ただ、そういう食べ応えはあった方がいいんでしょうね。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。