第261回 世界で一番ラッキーなカード

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/世界で一番ラッキーなカード

 

某大手さん「部門mtg」での雑談シーンより。

ある方が、質問を投げかけました。

「最近、『すごくうれしかったこと』『しあわせを感じたこと』って、何がある?」

問われた幾人かは、何やら小難しそうな表情で

「お前、そんなことある?」「いや、最近そこまで嬉しいことなんてないよな」

などと、互いに口にしています。

そんななか、タカマツと同世代と思しきひとりの方が、

「今朝も目覚めることができてラッキーでしたよ」

「この歳になると、夜寝る時に明日も起きられるか少し不安でね」

なんて、ありがたそうに微笑むのです。

確かに、

「お金や名声。自由な時間や立派な肩書きなど、好きなものを何でもあげるから、代わりにあなたの命をくれますか?」

なんて言われたとしても、すぐに差し出せる人は、多くないでしょう。タカマツは無理です。。

続けて、彼は、

「ぼくは、毎朝起きられた時に、『世界で一番ラッキーなカードをもらえたんや』って思うんですよ」

何やら『スピリチュアルな発言やな、、』なんて思う方がいてもおかしくはないでしょうが、大手さんは違います。

「さんまさんも、『生きているだけで丸儲け』言うてるしな」

「松下幸之助さんも、『若さを持っているだけでえらい』言うてはるよな」

「確かにな、『資産10兆円の90歳より、資産0円の20歳の若者の方が価値がある』なんてウォーレン・バフェットも言うてるもんな」

「モノの価値が下がって、お金の価値が上がる『デフレの社会』では、お金を貯めて倹約をして、チャレンジングなことは控えるみたいな生き方が、賢い生き方なんて思われていたとこもあるやろ?」

「そんな状態が何十年も続いてしまったから、日本の経済はどんどん停滞しちゃってさ、、」

「でも、これからしばらくは続くだろう『インフレ時代』は、これまでとは真逆で、新しいことに挑戦する人たちこそが報われるようになっていく」

「そんな時代に生きていられるだけで、ラッキーよな」

なんて、話が続いていくのです。

もし、タカマツにどなたかが「10億円をくれる」と言ったら、ぼくは飛び跳ねて受けとるでしょう。多くの方も喜んで受け取るのではないでしょうか。

でも、「10億円を受け取ったら、明日の朝には死んでしまう」というルールを神様に伝えられたら、恐らく誰もお金なんて受け取らないでしょうね。

これって、

「明日の朝、目を覚まして、人生を継続していくことには『少なくても10億円以上の価値がある』ということなのではないでしょうか?」

ぼくらは毎朝、「世界で一番ラッキーなカード」を授けられているのですね。

こんなことも大手さんに教わっているのであります。

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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