第45回 ジュエリーショップで井戸端会議?

この対談について

母から受け継いだ指輪をネックレスに、片方なくしたピアスをペンダントに、思い出の詰まった2つのリングを溶かして1つに――。魔法のようにジュエリーを生まれ変わらせるジュエリー修理・リフォーム専門店「Refine」(リファイン)。代表の望月信吾さんに、お客様に感動を届けるジュエリーリフォームの魅力、そして波乱万丈な人生についてお聞きする対談企画です。

第45回 ジュエリーショップで井戸端会議?

安田

セブンイレブンの買収先は外資か伊藤忠か、という攻防戦に注目が集まっていますね。「外資に買われたら大変だ」という声も多くて、それだけコンビニって日本国民にとっての「生活インフラ」なんだろうなと。


望月

確かに。我々の生活から切り離せないものになりましたよね。

安田

そしてこれからは高齢化がさらに進んで、1人暮らしの高齢者は今よりももっと増えていく。そうすると「生活インフラ」だけでなく、「コミュニケーションインフラ」も絶対に必要になるんじゃないかと思っているんですよ。


望月

ふ〜む、なるほど。実際、昔のような近所づきあいもほとんどなくなって、井戸端会議をしている光景も見かけなくなりましたもんね。このままでは隣に誰が住んでいるかもわからない世の中になりそうです。

安田

そうそう。でもね、やっぱり人間同士の交流というのは、生きていく上で不可欠なものだと思うんです。そういう事を考えていた時、望月さんが以前お客さんがお話だけしに来ることもあると仰っていたなと思い出しまして。「Refineショップ」がそういう立ち位置になれるんじゃないかと。


望月

えっ、うちの店が井戸端会議の場所になるってことですか?(笑)

安田

笑。井戸端会議というより「情報交換の場」って感じですかね。ジュエリーを見に来るついでに「あそこのお店、美味しかったよ」とか「あそこの病院は腕がいいらしいね」みたいな。


望月

ははぁ、なるほど。いいかもしれません。私自身、ジュエリー「以外」のご相談をいただくようになったら本物だと常々考えていて。そこまでの信頼関係を築けているということの証でもあるので。

安田

そうですよね。今までリフォームや修理をしたことのあるお客さんが、買い物ついでに立ち寄ってくれたりもするって仰ってましたもんね。お客さんからしても、そういう場所ってすごく貴重だと思いますよ。


望月

そう言われてみると、確かにウチの店はお話をするのにすごく適した環境なのかもしれません。1日に何十人もお客様が来店されるお店ではないので、じっくり座ってお話できるような空間になっていますし。

安田

そうでしょう? 他にそういう店ってあまり思いつかないじゃないですか。


望月

確かにそうですね。実際横浜の若葉台店は、店長の人柄もあって、「近くまで来たから」とお話だけしにいらっしゃるお客様も多くて。

安田

既に「コミュニケーションが目的で来る人がいる」ということですね。それはビジネス的にもすごくいいことだと思うんですよ。お話が目的で来店しているうちにジュエリーに興味を持つ、っていう順番でもいいわけで。


望月

なるほどなぁ。確かになくはないですね。実際、「お話するだけだと申し訳ないから何か買おうかしら」と言っていただけることもありますから。とはいえ「お話だけしに来てください」と店側から言うのもなんだか妙な気がします(笑)。

安田

それはそうですね(笑)。お客さんにしても、いくら「どうぞ」と言われても、何の用事もないとやっぱり入りづらいですし。じゃあこういうのはどうですか? 「何でも相談店」みたいにして、相談自体を商品にしてみるというのは。


望月

ほう。つまり仕事としてジュエリー以外の相談も受けるってことですか。

安田

そういうことです。「どこに頼んでいいのかわからない」ということって結構あるでしょう? 何かが壊れちゃったから修理したいとか。

望月

確かにありますよね。修理業者などの紹介なら、普段から近いことをやっているので導入しやすいかもしれません。

安田

いいですね。そういう近しいところからだんだん広げていって、最終的には「お困りごと全般の相談窓口」にする。そうすれば今以上にたくさんのお客さんに来店いただけるようになる気がします。

望月

確かにそうかもしれません。でもお困りごと全般となると、どう対応すればいいのか……

安田

それが得意な人につないであげればいいと思いますよ。例えばお客さんの中に「裁縫が得意な人」がいるかもしれませんよね。「ズボンの裾上げをしてほしい」という相談があったら紹介してあげる。

望月

ああ、なるほど。うちのスタッフが対応するんじゃなくて、最初にいろんな方の「得意なこと」を聞いておいて、その情報を提供すると。

安田

そうですそうです。それが先ほど言っていた「コミュニケーションインフラ」とか「情報交換の場」ということで。

望月

ははぁ、なんだかちょっとイメージできてきました。確かにそれはニーズがありそうだし、社会貢献度も高そうです。

安田

そうそう。今って広告の効果がだんだん薄れてきていて、「この人にお願いしたい」と人で選ぶ時代になってきているんですよね。でも自分にピッタリの人を見つけるのはけっこう大変で。まったく知らない人に頼むのも不安だし。

望月

それが人づてだと、安心感があるわけですね。

安田

ええ。まずはお客さんから得意なことを聞いておいて、リストにしておく。「こういうことができる人がいますよ」と店内に掲示してもいいかもしれない。Refineに行けば自分にピッタリの人が見つかる、みたいな存在になっていくわけですよ。

望月

それは面白そうだなぁ。そういえば昔の商店街のお店って、自然とそういう役割を担ってましたよね。

安田

そうですよね。結果お店も賑わって、それが商売につながっていた側面もあったんだと思います。今は何でもネットで済ましちゃおうとしますけど、やっぱりそういったリアル店舗の強さはあるだろうなと。

望月

確かにそうですね。今日のお話を参考にいろいろ工夫してみたいと思います。

 


対談している二人

望月 信吾(もちづき しんご)
ジュエリー工房リファイン 代表

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25歳で証券会社を退社後、父親の経営する宝石の卸会社に入るが3年後に倒産。その後独立するもすぐに700万円の不渡り手形を受け路頭に迷う。一念発起して2009年に大塚にジュエリー工房リファインをオープンして現在3店舗を運営。<お客様の「大切価値」を尊重し、地元に密着したプロのサービスを提供したい>がモットー。この素晴らしい仕事に共感してくれる人とつながり仕事の輪を広げていきたいと現在パートナー募集中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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