日本では労働者の7割が中小企業で働いている。ゆえに中小企業が日本経済を支えていると言われている。しかし中小企業で働く従業員の報酬は大企業に比べて激安である。日本人の平均年収は460万円ほどだが中央値では400万円に過ぎない。この差を生み出しているのが富裕層と貧困層の格差であると言われている。では富裕層とは誰のことか。
億単位の年収を得ている超富裕層は0.03%に過ぎない。平均を押し上げているのは平均より少し上の年収を稼ぐ高所得者集団である。その多くが大企業従業員であることに異を唱える人はいないだろう。物価高騰の中で決して楽な生活をしているわけではないが、高所得者層と言われ高い比率の税金や社会保険料を負担させられている人たちである。
税金や社保の負担がここまで大きくなければ、もっと優雅な生活ができるであろう人たち。この層によって日本人の平均年収は引き上げられている。一方で中央値を引き下げているのは平均以下の年収しか稼げない人たちだ。その数は高所得者層の2倍以上。この人数の差が中央値を押し下げているのである。彼らの多くが中小企業労働者であることに異を唱える人もいないだろう。
ではここから確実な未来予測をしていきたい。この先、日本の労働人口は半分以下になる。しかし大企業労働者は減らない。少なくなった労働者の中からできるだけ有能な人材をまず大手が確保していくだろう。なぜなら桁違いに待遇がいいから。では労働人口の半減はどこに影響を与えるのか。考えるまでもない。この先、中小企業で働く人の割合が激減していくだろう。
採用難、人不足という言葉とは次元の異なる現象が起こる。生産性が低く、待遇が悪い中小企業から人が消える。これは確実な未来予測である。大企業は当然のことながら省人化やDX化を進めるだろう。それでもスケールし続ける大企業から人がいなくなることはない。言ったことをちゃんと実行してくれる程度のスキルがあれば、十分に元が取れてしまうからである。
言ったことすら実行できない社員を抱えて中小企業が利益を出せるだろうか。どう考えても無理である。妥協してこのゾーンを採用し続けた中小企業は間違いなく滅びる。生き残るのは真逆の戦略を取る会社だけ。数を絞り、ピンポイントで有能な人材だけを、大企業並みの報酬で採用する。これ以外に生き残る道があるのだろうか。
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