第62回 1000万円を稼ぐために必要な3つの思考

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第62回 1000万円を稼ぐために必要な3つの思考

安田

私は今、「日本人の所得の中央値を1000万円にする」という目標を掲げてますけど、1000万円を稼ぐためのポイントっていくつかあると思うんです。「これさえあれば絶対稼げるぞ」という。


藤原

ほう、それは知りたい読者の方もたくさんいるんじゃないですか? ぜひ教えて下さい。

安田

まず1つ目は「自責思考」であること。つまり他人のせいにしない。次に、柔軟に考えること。これによって、一つの物事に執着せずに済みます。そして3つ目が「仕事とのマッチング」だと思うんです。


藤原

いやぁ、全く同感です。この3つの中で特に大事なのが、最初に仰った「自責思考」でしょうね。仕事のマッチングができていて、頭が柔軟でも、「他責思考」だったら多分台無しになるというくらい。

安田

仰る通り、「自責思考」が全ての始まりと言ってもいいですよね。でも実際は、日本人は他責思考の方が多い気がして。例えば経営者でも、最低賃金が上がると「これでは会社がやっていけない」「人を雇えない」と嘆いたりするじゃないですか。


藤原

わかります。国が悪いとか政治が悪いとか。そういう「他責思考」では何も解決しないんですけどね。

安田

そうなんですよ。経営の格言で「ポストが赤いのも社長の責任」という言葉がありますけど、これは社長だけじゃなく、全ての人に当てはまると思うんです。「ポストが赤いのも自分の責任だ」という前提に立てれば、年収1000万円なんて簡単に達成できるんじゃないかなと。


藤原

確かに確かに。私の肌感で言っても、そういう人なら1000万円は余裕でしょう。…でもそう考えると、一昔前の日本人は自責思考で考える人が今より多かったように思いますね。

安田

言われてみればそうですよね。私が子どもの頃は、年金を受け取らない高齢者が一定数いた気がします。「まだ働けるんだから、お国には頼らない」という気概があったというか。


藤原

ああ、確かに。そう考えると、海外はどちらかというと「他責思考」が強いようにも感じますね。例えば欧米の人と仕事をすると、彼らは「自分の仕事の範囲」をキッチリ線引きするじゃないですか。

安田

そうですね。その範囲内の責任しか持ちませんよ、という考え方ですよね。範囲外で何が起ころうが「それは私が対応することではない」と割り切っているというか。


藤原

そうそう。それって一種の他責思考じゃないですかね。

安田

確かになぁ。そういえば、昔アメリカに行った時も、「俺はやるべきことをやっているから、他で何が起ころうが俺のせいじゃない」という発想が強かったですね。だからなのか、彼らはなかなか謝らない(笑)。


藤原

そうそう(笑)。それに比べると、日本人は比較的、職責外のことでも「申し訳ございません、弊社の責任です」と対応するんですよね。

安田

ということは、日本人は元々自責思考が強い民族だったのかもしれませんね。


藤原

そうなんでしょうね。戦後に欧米の文化と共に「他責思考」が入ってきたんでしょう。そういう意味では、日本人には向いていない考え方のような気もしますね。

安田

戦争に負けて焼け野原になろうとも、「アメリカにひどいことをされた」と恨みを抱くのではなく、「これからは自分たちの力で豊かになろう」と奮起したわけですもんね。


藤原

そうですよ。まさに「自責思考」です。あらためて考えるとすごいですよね。

安田

確かに、今の日本人に同じことはできないでしょうね。日本って「世界一成功した共産主義国家」だなんて言われることがあるじゃないですか。それも自責思考の国民性だからなのかもしれません。


藤原

確かに。「皆が同じ給料だったらいずれ誰も頑張らなくなってしまう」というのが共産主義の限界と言われている中、横並びの給料でも「会社のため、国のため」と努力し続けた。

安田

そうそう。すごいことですよ。今の日本はそういった気概がどんどんなくなっている気がして。


藤原

わかります。以前の日本人は、今よりもっと「利他的」だったんでしょう。…そうか、冒頭の3つのポイントにもう1つ加えるとしたら、「利他的であること」かもしれませんね。

安田

ああ、なるほど。つまり、年収1000万円への近道は、「自責思考」と「利他主義」に戻ることだと。でもどうすればそこに戻れるんでしょう。藤原さんだったら、社員にその感覚を持ってほしい時どう伝えます?


藤原

そうだなぁ。「自責思考」や「利他的な考え方」が素晴らしいんだよ、とそのまま伝えてもなかなか響かないでしょうね。だから「そういう思考を持った方が、あなた自身も得をするんだよ」という言い方をするかな。

安田

そうかそうか。まずは自分ごとと考えられるような伝え方が大事なわけですね。


藤原

そうですね。その結果として、年収1000万円、そしてその先の2000万円というのが、より現実的な目標になってくる気がします。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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