第98回 会社員の未来は「右肩上がり」から「選択型キャリア」へ

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第98回 会社員の未来は「右肩上がり」から「選択型キャリア」へ

安田

初任給がどんどん上がって、最近は「30万円が最低ライン」という時代になってきました。これからさらに40万円くらいまで上がっていくんじゃないかと言われてますよね。


渡邉

実際、チラホラ出てきてますからね。「20代の未経験でも年収500万円から」なんてのが珍しくなくなるかもしれない。でもこれって20代だけの問題じゃなくて、実は給与体系が根本から変わってきているんですよね。

安田

そうなんですよ。今までは55歳くらいで役職定年を迎えるまでは給料が上がっていって、そこから定年まで少しずつ下がるというのが一般的だったじゃないですか。でも最初にそんな高い給料を払ってしまったら、その後も右肩上がりで増え続けるなんて不可能だと思うんです。


渡邉

そうそう。必ず頭打ちになる。自らスキルアップを続けていける人は別ですが、多くの人は昇給がどこかでストップすることになるでしょう。

安田

与えられた仕事をしてるだけだと「30代で年収ピークが来る」みたいな話も聞きますよね。


渡邉

それはそうでしょうね。企業側も定年まで雇うことを前提にしなくなってきて、5年とか10年単位で雇用形態を変えたり、別会社を作って役員として出したり、出口戦略を工夫してますから。

安田

ああ、なるほど。ちなみに何年くらい勤務してもらうことを想定してるんですかね。


渡邉

10年いたらめちゃくちゃ頑張ったね、という感じだと思いますよ。

安田

うーん、思ったより短いですね。それならもっと入り口でお金を払ってあげてもいい気がしますけど。それこそ大手の初任給くらい、35万円とか40万円とか払ってもいいかもしれない。


渡邉

僕もそう思います。結局、初任給を高くして何がキツいかって、その後昇給する給料を払い続けることですからね。

安田

そうですよね。35歳くらいまではなだらかに上がっていって、そこからは横ばいか人によっては下がることもあると考えたら、最初に高いお金を払って人材を確保するのはアリだと思います。

渡邉

そうなんですよ。ただやっぱり、既存の社員とのバランスが難しいんですよ。そこを気にしてなかなか踏み出せないという話をよく聞きます。給与体系の異なる別会社を作っちゃうのは一つの解決策かなとも思いますけど。

安田

うーん、まあ「別会社だから関係ないよ」とは言えるかもしれませんが、同じ社長で同じ事業をやってたら、既存社員はなかなか納得できないですよ。


渡邉

そうなんですよ。そこが給料を上げたいけど上げられないというジレンマなんだと思います。

安田

大手のように「40代を超えたら辞められてもかまわない」というくらい割り切れたらいいんでしょうけど。辞められたら困るような30代までは給料を上げて、40代以上は下がる前提で設計する。


渡邉

それぐらい思い切った取り組みが必要なんだと思いますよ。特に住宅業界の人手不足は深刻なので、初任給35万円くらいでもいいと思いますね。7年くらいの区切りで考えれば元は取れると思いますし。

安田

なるほど。まぁでも、皆が7年働いてくれるかというとなかなか厳しそうです。それこそ1年くらいで辞められちゃうケースもあるだろうし。ちなみに今20代の人も、10年後20年後になったら給与の頭打ちが起こると思いますか?


渡邉

起こると思います。ただその頃には今よりも選択肢が増えているでしょうし、あまり深刻にならなくてもいい気がしますけどね。

安田

確かに確かに。今美容師さんとかでも、将来独立して店を作るんじゃなくて、フリーランスになる人が増えてるらしいですよ。収入は独立前とあまり変わらないんですけど、働く時間を自分でコントロールできるのがいいらしくて。


渡邉

ああ、やっぱりそうですよね。「ガンガン稼ぎたい」っていうより、「自由に仕事したい」と考える人が増えてるんでしょうね。

安田

そうそう。時間的な拘束がない状態で、ストレスを溜めずにある程度食っていけるぐらいでいいという感じなんだと思います。

渡邉

わかります。「出世して若くして一戸建てを建てたい」なんていう人はほとんど見かけない。

安田

まぁ、そういう先輩方が熟年離婚してたり、50歳を過ぎてから給料が下がったり、あまり幸せそうじゃなく見えてるんでしょう(笑)。20〜30代でプライベートを犠牲にして、ストレスを溜めながら働くよりも、共働きでも家族仲良く生きていければいいという。

渡邉

本当にそうですよね。今の20代が40代になる頃には、生き方も相当変わってると思います。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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