第104回 中辻麗が即採用したくなる人材とは

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第104回 中辻麗が即採用したくなる人材とは

安田

以前、中辻さんは「まず仕事を作ってから人を募集する」と仰っていました。とは言え「こんな人だったら即採用!」というような人材もいるんですか?


中辻

いますいます。1つ目は「痒いところにめちゃくちゃよく手が届く人」で、2つ目は「私に歯向かってくれる人」ですね。

安田

ほう。なかなか興味深いですね。まず1つ目から教えていただけますか?


中辻

例えば私が「これはすごく大事なことだから、あの人に忘れないようにって伝えておいてね」と言ったとします。普通の人であれば一度伝えて終わりなんですけど、私が欲しい人材は「中辻さんはめちゃくちゃ大事なことやって言ってたし、もう1回リマインドしておこう」って自分で判断して、少し前に再度「あの件、忘れずにやってくれましたよね?」って確かめてくれる。

安田

ははぁ…それってむしろ、ペイント王久保さんにとっての中辻さん、みたいなイメージですね(笑)。


中辻

自分で言うのも何ですが、そうです(笑)。あとはスケジュール調整とかも、仮に私の予定が入っていた時でも「この件は重要なんでこちらの案件と入れ替え可能ですか」みたいに提案してくれたり。

安田

そんな人がいたら引っ張りだこでしょうね! 実際にはめったに出会えないレベルの人材ですけど(笑)。


中辻

そうなんですよ(笑)。ウチの部下たちもみんな真面目だから、言ったことはやってくれますけど。でも「え? そこまでやってくれてるの?」っていい意味で裏切られた時には、めちゃくちゃ褒めてますね。

安田

「言われたわけじゃないけれど、これもやっておいた方がいいだろう」と判断できる人は稼げますよね。じゃあもう1つの「中辻さんに歯向かってくる人材」は?


中辻

私に対してマイナスな意見を言ってくれる人が欲しいからです。今って、ウチの会社のすべての決裁権は私が持っているから、誰も私に反対意見をくれなくて。

安田

あ、そうなんですね。久保さんも言わない?


中辻

ほとんど何も言われません(笑)。だから「中辻さん、それは違うんじゃないですか」って言われたいんですよ。イチ社会人だったら同僚と意見交換やダメ出しなんかもしますよね。でも今の私の立場だと、行動や考えや振る舞いなどについて、誰も何も言ってくれないんです。

安田

そりゃそうでしょう(笑)。なかなか社長に歯向かう人はいないと思います(笑)。


中辻

笑。でも、もし私が間違った道に進もうとしていたら「それはやめた方がいいですよ」って言ってもらいたいんですよね。

安田

ああ、なるほどね。それは「歯向かう」とは違うのかもしれない。ただ単に何でもかんでも反対してくるような人ではなくて、会社全体の最適解を見ながら、社長のジャッジがズレていたら指摘できる人とでも言いますか。


中辻

あ〜まさにそうです。会社の目指すビジョンの達成に向けて、何万通りもの道順があると思うんです。でも私も人間なので、判断を迷ったり、時に間違うこともあるはずで。そういう時に、私とは別の意見をしっかり主張してくれる人だったら、ぜひ採用したいです。

安田

でもなかなかそういう人、いないですよね(笑)。だから大半の経営者は、自分に対して厳しいことをいってくれる人を社外で探すんですよ。


中辻

あ〜確かに。それで言うと、私にとっては税理士さんがその役目を担ってくださっていると言えますね。

安田
なるほどなるほど。じゃあ中辻さんは「痒いところに手が届く人」と「会社のために反対意見をしっかり述べられる人」であれば即採用するというわけですね。
中辻

そうですね。ただし、原則、女性に限らせていただきます(笑)。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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