庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第85回 世界が求める、引き算の庭づくり

そうなんですよ。でも今後は、都心のマンションだけでなく地方の一戸建ても買われるようになると思っていて。それで考えたのが、庭への注目度です。日本人はなかなか庭にお金をかけられない時代になってますけど、日本で一戸建てを買う外国人なら、庭にだってこだわるんじゃないかなと。

そうなんです。そういう人には中島さんが提案している「引き算の美学」の庭がすごくウケるんじゃないかと。庭づくりとセットにした外国人向け住宅企画ってすごく可能性があると思うんです。

なるほど。でも僕の提案してるような庭が、外国の方に受け入れられますかねぇ。「いかにも日本庭園」みたいなものをイメージされている気もします。

そうでしょう? 例えば無印良品ってありますけど、ヨーロッパの人たちからすごく人気なんですよ。フランスとかでは「日本に行ったら無印買ってきて」って頼まれるぐらい。それに近しいものがあるんじゃないかなと。

仰るとおりです。住宅会社とコラボする形もアリですよね。お客さんを中島さん側で集めて、それを建築会社に紹介するような。お庭単体よりも家と一緒なら、住まい全体のコンセプトとして提案できる。しかも「中島ブランド」の庭がセットでついてくる、となればすごく強いですよ。

確かに相性よさそうですね。…この話をしていて今ふと思い出しましたけど、僕の家も壁がグレー一色でかなりシンプルなんです。建築をやっている双子の兄が建てたんですが、考え方や好みは無印良品にかなり近いかもしれない。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。