「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。
第107回 これからの時代に求められる経営者像とは?

中辻さんも日々感じられているとは思いますが、「仕入れた商品に利益をのせて売るだけ」とか「雇った人を指示通りに動かしているだけ」で儲かる時代ではなくなってきましたよね。

そうでしょうね。もっとも、私は以前から不思議なんですよ。だいたいの経営者さんはサラリーマンも経験されているはずで、だったら「対価に見合った給与をもらいたい」って気持ちもわかるはずじゃないですか。なのにどうして経営者になった途端、人件費を絞ろうとするのかなって。

まぁ、昔はわりと「社員」と「社長一族」ってキッパリ分かれていたので、サラリーマンをまともにやったことがない経営者も大勢いたんですよね。現場の苦労を知らない人たちが集まって、会社の金を使って毎晩飲み歩いていたりとか(笑)。

あ〜、そんなことを今の時代にやったら、従業員はすぐ辞めちゃうでしょうね(笑)。私もいろいろな会社さんを見てきて思いますが、やっぱり現場のことをちゃんと見てあげていない社長って、社員さんとの間に溝ができているような気がします。

ああ、いえ、なんて言ったらいいのかな、現場の状況をちゃんと把握しておく、という方が適切かもしれません。社長の仕事は人の上に立って指示を出したり、会社の舵取りをしていくことですよね。そういう意味で「現場の仕事ばかりしている社長」もマズイと思うので。

仰るとおりです。やっぱり社長と社員の間に溝がある会社って、どんどん悪くなっていくんですよね。せっかく新しい人が入ってきても、今いる従業員が社長の悪口をポロッと言ってしまう。そうすると、新しく入ってきた方も会社に対する印象が悪くなっていくじゃないですか。

多いです! なんていうか…皆さん、自分のところの商品を過信してるんですよ。周りも同じようなことをやっているのに、自分なりにつけた付加価値が最強だと思っている社長さんが多すぎる。びっくりしますよ(笑)。
対談している二人
中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役
1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。