庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第90回 「まだ建っていない家」からの景色を知る方法

中島さんは、「家が建つ前に図面をもとに庭を考える」わけじゃないですか。「完成した窓から見える景色を意識している」なんてことも仰っていました。でもそれって冷静に考えるとすごく難しくないですか? まだ何もない状態でどうやってイメージするんです?

そうですね。景色だけじゃなく、お住まいになる方の過ごし方なんかも考えますね。たとえば最近はリビングとキッチンがつながっていることが多いので、料理をしている時に窓の外をどんなふうに見るかな、その時に何が見えたら嬉しいかなとか。

そうなんです。そういう意味ではデザインの前に動線を考えます。direct nagomiのある岐阜は車が必須なので、駐車スペースをどう確保するかが最優先ですね。

ああ、中にはいらっしゃいますよ。そういうときは窓の正面に車が見えるようデザインします。でも多くの方は見えないほうが落ち着くようですね。車だけじゃなくアルミの物置やフェンスなんかも適度に隠すことが多いです。

まさにそんな感じです。もちろん私のイメージだけで作るわけではなく、お客様へのヒアリングも重要です。庭でバーベキューをしたいという定番のご要望から、最近では「林にしたい」「庭で鳥を見たい」なんてご希望をいただくこともあります。

ああ、ブルーベリーの木を植えると鳥が実を食べに来ると以前仰ってましたもんね。虫が好きな人からの要望もあるんですか? セミに来てほしいとか。

セミはあまり希望されないですね(笑)。でもカブトムシが寄ってきやすいからと、シマトネリコという木を植えたいという方はいらっしゃいました。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。