第102回 国民皆保険制度に依存する日本人

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第102回 国民皆保険制度に依存する日本人

安田
今日は久保さんと、日本の「国民皆保険制度」について深掘りしていきたいんです。というのも、皆保険制度って素晴らしい制度だと思う反面、無駄な医療や薬を提供しているケースも多いんじゃないかと感じていまして。

久保
確かに、「100%自己負担だったらこんなに病院に通ってないだろうな」って人もいますもんね。それこそ暇つぶしのように通院しているような人が…(笑)。
安田

そうなんですよ(笑)。だからこそ、すぐに検査してくれたりたくさん薬を出してくれるクリニックや医者ほど評判がよくなる。評判が良くなるから病院側もそれにおもねる。そういうことを考えると、負担額をある程度上げた方が、医療業界全体が健全化する気がするんですよ。


久保
そうですねぇ。少し違った視点から言うと、私は日本の国民皆保険制度って、江戸時代などの「向こう三軒両隣、助け合って生きていこう」といった精神が前提じゃないといけないと思うんです。つまり、まず自分たちでなんとかする。それでもだめなら病院に行くというね。…ところが今は、ある種「依存的」な形になってしまったんじゃないかと。
安田
ほう…依存的ですか。

久保
例えばアメリカには公的な医療保険制度ってものすごく限定的にしかないでしょう? 医療費がものすごく高いので、おちおち風邪も引けない。だから「そもそも風邪を引かないためにはどうするか」という発想で栄養学サプリメントが発達したわけです。
安田
ははぁ、なるほど。おもしろいですね。

久保
ところが日本では、病気になっても病院に行けばサッと安価で治してくれちゃう。ほとんどが対処療法なんですけど(笑)もちろんお金のことを気にせず気軽に医者にかかれるのは素晴らしいことですが、「自分で予防しよう」という発想がなかなか生まれないんですよね。
安田
それを「依存的」と仰ったわけですね。お医者さんに気軽に丸投げしている…つまり依存していると。

久保
仰るとおりです。そして先ほど言ったように、医者側もそういう患者に依存しているわけです。たくさん検査をしたり薬を出したりすれば、彼らも儲かるわけですから。
安田
なるほど。相互依存関係ってことなんですね。うーん、あらためて考えると、それって結構な問題ですよね。

久保
ええ。だからこそ私は生活習慣の改善を訴え続けているわけです。国民1人ひとりが生活習慣を改めれば、年間10兆円の医療費が浮くって話ですから。
安田
は〜、10兆円も。それにしても、どうしてこんなに安易に医療費を使える仕組みにしているんでしょうね。それこそ「予防」に対する診療報酬を高くするだけで、かなり改善されている気がするんですけど。

久保
同感です。治療より予防に主眼を置いたほうが、患者側もハッピーだしお金も浮く。いいことづくめなのにそれが進まないのは、それをされると困る人たちがいるのかな、なんて思っちゃいますよね(笑)。
安田
なんとしてでも既得権益を守りたい人たちがいる、と(笑)。まぁいずれにせよ、「具合が悪くなったら薬を飲もう」より、「薬がいらないような健康体でいよう」の方が正しいですよね。

久保
仰るとおりです。それに検査や薬が安いからといって、あんまり気軽に病院に行くべきじゃないんですよ。それこそ「暇つぶし」で行っていい場所じゃない。
安田
まぁ年を取ると、常に体のどこかしらが痛かったりするじゃないですか(笑)。それで不安になってしまうって気持ちもわかりますけどね。1つひとつの症状に合わせていろんな病院に行っていたら、毎日とんでもない量の薬を飲むことになったりして。

久保
笑。もちろんそういう気持ちも理解できますけど。ただ、自分の体なんですから、もう少し自分が責任持って管理すべきなんです。ここぞというタイミングだけお医者さんを頼ることにして、まずは「自己治癒力」を伸ばしていく。それが重要なんじゃないかなと思いますね。
安田
なるほどなぁ。医者を信じるなというわけではないけれど、100%鵜呑みにしてもいけない、ということですね。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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