第101回 スライムを倒し続けるだけでは稼げない

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第101回 スライムを倒し続けるだけでは稼げない

安田

最近はお酒を飲む人やタバコを吸う人が減ってきて、いわゆる「健康的な生活」を送る人が増えている気がするんです。でもそうなればなるほど、「娯楽」という意味ではつまらない人生になっちゃう気もして。


倉橋

わかります。人間らしい「無駄」みたいなものが削ぎ落とされていく感じで、それはそれで物足りないというか。

安田

そうそう。人間って余計なことが好きじゃないですか。カロリー過多の高いパンケーキを食べたり、ぼろぼろのダメージジーンズにお金かけたり。そういうちょっと愚かで無駄なことが文化を作ってきたと思うんです。


倉橋

そうですよね。ビジネスに関してだって、実はそういう遊び心がすごく大事だったりするし。

安田

そうなんですよ。ある意味経済とか商売って「人間が作った最大級の遊び」なんじゃないかとも思うんです。倉橋さんの中にもそういう「遊び感覚」があるような気がしますけど。


倉橋

ありますね〜(笑)。そもそも商売って感情が動かないと成立しないですから。いくら経済学や商業の勉強をしても、それだけでうまくいくわけじゃない。

安田

そうですよね。実際、生活必需品はものすごく節約している人が、娯楽や趣味には糸目をつけずお金を使いまくっていたりする。そういうのを見ても、お金って合理性じゃなくて感情に乗って動いているんだなと感じます。


倉橋

最近のお米の騒動なんかにも同じことが言えると思います。日常の米が値上がりすると大騒ぎする割に、推し活やフェスには惜しみなくお金を使っていたりする。その矛盾こそが人間らしさのような気がします。

安田

そう考えてみると、人って命に関わるものほどコストを抑えようとするんですよね。つくづく不思議な生き物です(笑)。


倉橋

確かに(笑)。結局それが人間の本質なんでしょうね。だからこそ「遊び心」がないと、この社会では豊かになれない気がします。

安田

真面目にやればやるほど、空回りしてしまう。もっと遊び的に、ゲーム感覚でやった方が成功しやすかったりする。…考えてみれば経済のルールって、ロールプレイングゲームと似てますよね。


倉橋

言われみればそうですね。スライムを倒してお金もらって、装備を強化して次のステージに進む。現実社会も同じかもしれません(笑)。

安田

でしょう? それなのに現実になるとスライムを倒し続けて、貯金しているだけの人も多い気がして(笑)。その貯金で武器を買えば、もっと強い敵を倒して稼げるのに。お金だって、人生ゲームでもらうおもちゃのお金と本質は変わらないと思うんです。

倉橋

同感です。実際、報酬としてのお金なんて現物で見ることは少ないですしね。数字でしか存在しない、いわば仮想的なものというか。

安田

そうそう。それなのに、お金を特別視して後生大事に抱え込んでしまう人が多い。私はそういう人にこそ「もっと遊びましょうよ」と言いたくて。

倉橋

すごくわかります。適当にやるわけじゃなくて、真剣に遊ぶということですよね。

安田

そうそう。逆に言えば、仕事が楽しく感じられない人が作った商品は、やっぱり響かないんです。「これすごく楽しいじゃん!」と本人がウキウキしながら作ったものの方がやっぱり売れる。

倉橋

「遊び」と「商売」は本質的に近いものなんでしょう。遊び心こそが、ビジネスを成長させる鍵だと思いますね。

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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