この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
『姫と龍_人生と共に深まっていく青色を創る物語』
そのクライアントはやや神妙な面持ちで「実は、ある歴史上の伝説の方と、うちがつながっているのがわかって‥‥」と口を開いた。戸惑いが伝わってくる。でも、「今までの様々な不思議な出来事が、ここを神聖で特別な場所だと示していたんだと腑に落ちたのです」その場所について語り始めると、その方の瞳がだんだんと輝いてきた。それは朝日が美しく差し込むとき、こんもりとした木々の静寂から鳥がさえずる旅館の一角。地の深い深い底から湧き出る澄んで滋養豊かな温泉にまつわる‥‥奇想天外な物語。
「ほんとうに美しい水、温泉なのです」
そう言われた時、私は単なる色の再現ではなく、遠い時空かなたの伝説を感じさせる「魂の青」を描くのだと直感した。それからすぐに、構想画が湧き出るように生まれてきた。しかし、その後下絵に進むには、なぜか空白とも言えるような長い時間がかかった。まるで、歴史の長大な流れを待つかのように。
「和の、日本の美しい青」 この絵の物語の、柔らかで澄んだ青は、毎日まいにち眺める下絵から生まれてきた。
スマートフォンの画面をすっとスワイプすれば、AIが数秒で美しい画像を生成する時代になった。私たちは「速さ」という名の魔法に馴染み始めている。でも、だからこそ心は、じんわりと包まれるような価値、時間をかけるものに惹かれるのではないか。. 今日もオリジナルの青緑の絵の具と向き合う。この色が生まれるまでに、どれだけの時間が必要だったのだろう。顔料を砕く時間、混ぜ合わせる時間、そして私がこの色と出会うまでの時間。キャンバスに一筆加えるたび、その全ての時間が重なっていく。 「この絵には、どのくらい時間をかけてくださるのですか?」クライアントから聞かれた時、私は答えた。「あなたの物語を理解するのに必要な時間です」と。AIは画像を生成できても、あなたの心の奥にある記憶の色合い、あなたを取り巻く世界の奥行きに、心で触れて描き出すことはできない。
制作中、ふと自然に手が離れ、画面と対話する時間がある。 「今日はどこまで進もうか」ではなく、「今日、この絵の物語に必要なものを、辿れているのか」と。そんな余白ある時間は、今の時代、贅沢な時間かもしれない。でも、その中で生まれる絵画は、きっとクライアントにとって、単なる装飾品ではなく、人生の一部になるはずだ。 この時間が、クライアントの手に渡る前から「対話できる絵画」の始まりなのかもしれない。
この青緑の絵の具を混ぜながら、クライアントが話してくれた「神聖で特別な場所」を思い出している。その方にとって特別な色合いを探すため、今日も何度も絵の具を混ぜ合わせ、色を重ねつづける。 完成した時、その絵を見るたびにクライアント、そして、周りの方々が微笑んでくれたら。そして何年経っても、その絵が「あの時」を思い出させてくれたら。そんな絵を描きたいと思いながら、今日も筆を握る。 急がない制作だからこそ生まれる、あなただけの物語。それが私の考える「対話できる絵画」です。
制作を進めている中だけど、不思議と完成後のイメージが次々と湧いてくる。この絵はその特別な場所でクライアントとその周りの大切な方々と対話を始めている。早朝、独り絵と向き合う静かな時間。みんなと話しながら、心と心を通わせる時間。1日の仕事を終え、疲れた夜に見上げるひととき。その度に、絵は違う表情で語りかけ、違う想いを呼び起こすだろう。
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『創造的な作品は何か?
<生活に入り込み、なおかつ創造的でなる 刺激的である 生活芸術>』
30年ほど前に、私がノートに書き留めた言葉だ。具体的には、それが一体、どんな作品のあり方なのか‥‥、ひとかけらも想像できなかった、30年前の妄想だ。
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いま読みかえすと、私の描いている「対話できる絵画」の本質を表しているかもしれない。絵画は静的な存在ではなく、鑑賞者の人生と共に変化し、成長し続ける生きた存在なのだ。AIが生成する画像は整っていて美しく、私も刺激をもらうことがよくある。しかし、自らの妄想に近いささやかな想いから始まった30年以上の画家としての道のり。そこからクライアントの心の奥にある想いに寄り添い、人生の変化と共に深まっていく絵であることを心の底から願って描く—そんな関係性は築けない。
何年経っても、そのクライアントがこの絵を見る、絵と対話するとき、きっと新たな発見があるはずだ。ずっと不思議だったさまざまなエピソードから始まって、全てが繋がった瞬間。そして、絵を依頼して、完成するまでの時間。その後、この絵と共に過ごした時間そのものが、新しい物語となって語りかけてくる。そんな絵画を一筆一筆、丁寧に描き続けている。
今回完成した作品 ≫『瀬織津姫と白龍_(本画部分)』
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。