「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。
第85回 トゥモローゲートの世界進出計画

日本の消費者は、安くて美味しくて、かつ接客も良くないと満足しない。だから国内で黒字になる会社は、海外ならもっと成功できるという算段なんでしょう。そう考えると、西崎さんのやっているブランディングも、海外に出たら100倍くらいの価値になるんじゃないかと思っていて。どうです? 海外進出とか考えることはありますか。

まだ戦略と呼べるような具体的な計画はないんですけど、うちの会社のビジョンに「世界一変わった会社」「世界一変わった仕事を作る」っていうのがあるんです。なので、国内だけでサービス展開しようとは最初から思っていないんですよね。

ああ、なるほど。そういえば以前、知り合いの経営者が言っていました。「甲子園に出たいなら、勝ち残るのが難しい東京や大阪じゃなく、例えば島根代表を目指すのがいい」と。昔は地方で成功してから東京に出るって流れでしたが、今は地方で成功して海外に出るのがゴールデンコースになっているって。

なるほど。今から起業する人なら、むしろ最初から海外で始めるのもアリかもしれませんね。リクルートも今はIndeedに軸足を移して世界トップを目指しているようですが、国内での広告競争はもうやらないっていう方針らしいですし。

例えば飲食店なんかに関して言うと、日本の「丁寧さ」とか「こだわり」は、海外ではなかなかないと思います。だからこそ世界で戦える。でもデザインや色使いになると、イタリア人なんかはこだわりがすごくて、フェラーリも赤色だけで何種類もあったりするわけじゃないですか。

ああ、なるほどね。でも一方で、日本のブランディングって「言葉」をすごく大事にするでしょう? キャッチコピーとかすごく凝っているし。「言語中心のブランディング」っていう意味では、むしろ日本が有利だったりするのかもしれませんよ。
対談している二人
西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社 代表取締役 最高経営責任者
1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数20万人とSNSでの発信も積極的に展開している。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。