“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。
第113回 繁盛店研究家が語る「繫盛する店」の絶対法則

以前倉橋さんが<繫盛店研究家>としてXで投稿されていた「喫茶店の経営戦略」について、詳しくお聞きしたいんです。同じ喫茶店でも、立地によって戦略を変えていかないといけないということでしたよね。

ええ。観光地なのかオフィス街なのか、はたまたベッドタウンなのかで全然違いますから。どんなビジネスでもそうですが、スタートはやっぱり「ターゲット」です。喫茶店をやろうと決めた時は、まず「どんなお客様に来てほしいか」を最初に考える。

そうです。観光地なら、観光に来た人がお客様になると思いますが、その中でもカップルなのか、若い人たちなのか、はたまた高齢層なのか。ターゲット設定と場所がリンクして初めて、商品構成やお店の雰囲気が決まってくる。全てはターゲット次第なんです。

わかります。でも実際は、「家の1階が空いているから喫茶店でもやろうか」みたいに、「場所ありき」で始めてしまう人も多いじゃないですか。そうなると、自分がやりたい店と地域やターゲットが合わないこともありますよね。

逆に言えば、自分がやりたいお店の理想があるなら、そのターゲットが最も集まりやすい場所で始めるべきですよね。もし場所が決まってしまっているなら、その場所に来るお客様をターゲットにしたお店づくりをしないと。

仰るとおりです。そういえば知人が以前喫茶店を始めたんですが、結局うまくいかなかったんです。その原因もターゲットが不明確だったことじゃないかなと思っていて。というのも、お店に来た人皆がなんとなく違和感を感じるんですよ。

そうなんですよ。仮に業態が同じでも、ターゲットが違えば全く別物になってくるので。オフィス街でやるにしても、OLさんを狙うのか、それとも課長さんや部長さんというおじさんたちに来てほしいのかでも全然違いますし。

そうですね。もちろんそのコンセプトで、たまたまターゲットに合致して成功するお店もありますが、それは運がよかっただけというか。自分がお店に入って「なんかこの店、感じいいな」って思う時は、自分がお店のターゲットにハマったということなんですよ。

ああ、なるほど。人から「いい店があるよ」と連れて行かれても、自分には「何がいいんだろう?」って思うことがよくありますね。それは紹介してくれた人はその店のターゲットにハマっていたけど、自分はズレてたってことなんですね。

そんな天丼は毎日食べないじゃないですか(笑)。リピートしてもらうなら、いくつかのメニューがあって、ランチ価格で、ちゃんとお腹いっぱいになる必要がある。それもガッツリ食べたいのか、ゆったりしたいのかでまた変わってきますけど。

そこまで多くないでしょうね。でも中にはちゃんとありますよ。僕が仙台で一人でランチに行く喫茶店があるんですけど、そこはもう完璧にわかっていますね。お客さんは、もう自分と同じような感じの男性しかいないです。OLさんは見たことがないし、カップルもほとんどいない。
対談している二人
倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表
株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。