人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第89回 「仕事」と「遊び」に境界線は必要か

藤原さんがメルマガで書かれていた「休みと働くことの境界線」というテーマが非常に興味深くて。仕事以外の時間を休みや遊びの時間だと考えるのが一般的だけど、違うんじゃないかという。

そうそう。一般的には「お金が発生している時間」が仕事だと認識されてますよね。そういう意味では、好きなことでお金を稼いでいるYouTuberだって立派な仕事なんですけど、でも「あんなのは仕事じゃない!」っていう人もいるじゃないですか。

そうですねぇ。「仕事は我慢の対価としてお金をもらうもの」「苦労してこそ価値がある」という価値観が、特に日本では根強いのかもしれません。私も昔「仕事が楽しい」と言ったら、先輩に「そんなのはちゃんと仕事をしていない証拠だ」って怒られたことがあります(笑)。

でもそういう人って意外とたくさんいる気がするんです。営業だけじゃなくてあらゆる職種で、「成果を出していないのに給与をもらっている」という人がね。でも本人としては「タイムカードを押し、会社に自分の時間を預けている状態なんだから、これは仕事なんだ」と言う。

ああ、なるほど。ちなみに私はクライアントとの打ち合わせを平日の午後に限定してるんですけど、そうすると「その時間しか仕事していないのか」と思われることが多くて(笑)。でも実際はそれ以外に早朝からメルマガを書いたり、新しい企画を練ったりしているわけです。

わかります。あくまで打ち合わせの時間として設定しているというだけなんですよね。コロナ禍以降にリモートワークが普及したことで、多くの会社員の方もその感覚に少し近づいたかもしれませんね。仕事とプライベートの境界が、物理的に曖昧になったので。

確かに確かに。ただその一方で、部下がちゃんと仕事をしているか監視するツールが導入されたりもしました。そう考えると、仕事とプライベートの境界線が曖昧な状態は、意外と成り立たせるのが難しいのかもしれないですね。

とにかく「仕事以外の時間」をいかに長く確保するか、という感覚なんでしょう。ともあれ、「決められた時間に会社に行く」という会社員のスタイルを選んでいるのもまた自分なわけで。それが嫌なら他の働き方をするのも自由なんですけど。

個人的には、むしろ意識的に「仕事=遊び」と考えることでパフォーマンスが上がるんですよ。逆に、歯磨きやストレッチのような面倒なことは、「この肉体という資本を維持するための重要な仕事だ」と捉える(笑)。私はそんな感じでやっています。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。