第133回 国立病院の赤字から考える国家予算の分配について

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第133回 国立病院の赤字から考える国家予算の分配について

安田
鈴木さん、今、国立病院の大半が赤字だってご存知でした?

鈴木
ああ、ニュースで見ましたよ。実に全体の8割が赤字だそうですね。このままだと日本の医療システムは崩壊しちゃうだろうって。
安田
そうなんですよ。赤字の要因は「支出の増加」ということらしいですけど、そう言う割に国立病院の医師の待遇ってよくないんですよね。給料もそれほど高くもないし、休みも少ない。そのわりに何かあったら訴えられるリスクは大きい。

鈴木
ただでさえそんな状況なのに、「赤字なのにもっと給与を下げます」なんて言われたら、お医者さんいなくなっちゃうね(笑)。
安田
そうなんですよ(笑)。だから赤字解消のためには受診者の負担を増やすしかないと思っていまして。高齢者も含めて、医療費は3割、4割負担にまで上げていくしかないんじゃないかと。鈴木さんはどう思われます?

鈴木
うーん。僕なんかは、個々人の負担を増やすよりも前に、まずは国家予算でどうにか補填できないのかなと思っちゃいますけどね。
安田
国家予算ですか。…でもかつて民主党が「何か無駄があるはずだ」って張り切って事業仕分けしてましたけど、それほど大きな無駄は出てこなかったですよね(笑)。

鈴木
確かに(笑)。でも近年、防衛費は増えてるじゃないですか。そこの費用を少し医療の方に回すのはどうですかね。せめてお医者さんの給料を上げる分くらいだったら、何百億円程度のことだと思いますし。
安田
なるほど。医療は命に直結することですし、そちらに国家予算を大きく割かないといけませんよね。

鈴木
そうですよ。医療と教育は、優先順位が一番上にくるべきだと思います。あとはもう、お年寄りにはとにかく健康になってもらって、病院にかからないようにしてもらうか(笑)。
安田
笑。私自身が「お年寄り」なのでハッキリ言いますが、そこまで高額をかけて延命させなくてもいいんじゃないかなとも思うんですよ。もし長生きしたいんであれば、自分で健康に気をつけた生活をすればいいわけで。

鈴木
同感です。医療制度が崩壊する方がよっぽどまずい。生きるべき人が生きられない世の中になっちゃったら困るじゃないですか。
安田
本当ですね。とは言え、予算は限りあるわけですから。どうやって振り分けるかを考えないといけない。鈴木さんとしてはやはり防衛費を削るべきだとお考えですか?

鈴木
そうですねぇ。防衛費を減らすとなると、きっと「じゃあ外国が攻めてきた時はどうするんだ」みたいな話が出そうですけど(笑)。でも他国が攻めて来るよりも、病気で死んでしまう方が遥かに確率は高いし、人数も多いわけですからね。
安田
仰るとおりですね(笑)。ちなみに負担を増やすことについてはどう思われます?

鈴木
払える人は払えばいいとは思います。例えば90歳過ぎているのに1000万円も持っているような人なら、1割負担じゃなくていいでしょ、って(笑)。
安田
確かに(笑)。そういう人は医療費の負担をアップしますって言ったら、「じゃあ俺は病気にはならない!」って健康に気をつけるようになるかもしれませんね(笑)。

鈴木
本当やね(笑)。だいたい大した用もないのに病院に行く高齢者が多すぎません? 僕なんか全く行かないのに。
安田
実は私も滅多に行かないんですよ。だから健康保険なんか入らず、病院に行ったときだけ10割負担にしたほうが、よっぽど安くすむのにって毎回思っています(笑)。

鈴木
行った時だけ10割負担っていうのは、僕らみたいな人にはいいかもしれないですね(笑)。とは言え、この医療システム崩壊は由々しき問題ですよね。本当に必要な人に、正しい医療が届けられなくなってしまうので。
安田
そうですね。じゃあ結論としては、国民1人ひとりの負担を増やすと同時に、国も予算配分を見直すべき、ということになりそうですか。

鈴木
そうですね。で、削るべきは軍事費かな。F-15戦闘機、1機くらい買わなくたって大丈夫なんじゃない?(笑) 確か1機100億円くらいするはずですから。
安田
戦闘機2〜3機くらい買わなくても、そう変わらないと(笑)。わかりました、こちらの問題解決には今後の政治に期待することにしましょう!

対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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