第94回 60代をポッドキャスターとして生きる

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第94回 60代をポッドキャスターとして生きる

安田

突然ですが私は60代をPodcastの配信者、すなわちポッドキャスターとして生きていこうと決めまして。Podcastってネットラジオのようなものなんですが、ご存知ですか?


西崎

ええ、あまり詳しくはないですが知っています。特に最近はよく耳にするようになった気がしますね。

安田

そうなんですよ。YouTubeを頑張ってらっしゃる西崎さんに言うのもあれですが、動画コンテンツ全盛のこの時代に、じわじわと音声コンテンツへの注目が高まり始めている。その一つの表れとして、完聴率がものすごく高いっていう話があって。


西崎

完聴率というのは、動画で言えば「最後まで見てくれた人の割合」みたいなものですか。

安田

そうそう。動画だと3割くらいと言われていますが、Podcastだと8割くらいあるんです。


西崎

へえ! それはものすごく高いですね。動画より高い理由はなんなんですかね。

安田

いろいろ考え方はあると思うんですが、私は「質の高い知識を本気で求めている人が音声メディアに流れている」んじゃないかと思っているんですよ。例えば最近って、再生速度を早めて動画を見る人が増えましたよね。時間を有効活用するために1.5倍速とか2倍速とかで見る。


西崎

はいはい、確かにそうですよね。

安田

でもそれって限度があるじゃないですか。いくら早めると言ったって3倍4倍にしたらもう言葉が聞き取れない。そう考えると、動画から得られる知識や情報の量ってやっぱり本にはかなわないじゃないですか。


西崎

確かに本格的な知識を得ようと思ったら本を読むしかないですもんね。

安田

そうなんです。そもそも動画って別に理解しなくても見れちゃうじゃないですか。ぼーっと見てても動画は勝手に進んでいくわけで。一方で本は書かれていることを理解できなければ読み進められない。


西崎

確かに確かに。理解度もそうだし、それを読む目的意識も必要ですよね。あ、つまり安田さんは、Podcastにはそういう人たちが集まっていると。

安田

まさにそういうことです。知識の質とか深さを求める人は、動画ではなく本や音声に向かっていく。実際私のPodcastのリスナーも三、四十代が中心で、経営者とか大手企業の社員さんが多いんです。


西崎

完聴率が高いのも、そもそも目的意識の高い方が聞いているからだと。

安田

そうそう。例えば私自身もね、動画はなんとなく受け身というか、流れてきたものを惰性的に見てしまう。でもPodcastは「これについて知りたい」「ここをもっと勉強したい」という気持ちで聞くので、集中度が違うんですよ。


西崎

うんうん、その感覚はよくわかります。僕も本を読むときはそういう感覚ですから。

安田

でしょう? それにPodcastって、習慣化しやすいんですよ。何曜日の何時にはこのPodcastを聞く、みたいに当たり前になっていく。それも一つの要因かもしれませんね。


西崎

なるほどなぁ。ちなみに安田さんはいつからPodcastをやっているんですか?

安田

もう15年くらいになりますかね。


西崎

へえ! そんなに前からなんですね。それであらためて「60代はポッドキャスターとして生きる」と決めたのは何かキッカケが?

安田

世の中がPodcastの価値にやっと気付いてくれたというか(笑)。私の周りの経営者さんたちも、ここにきてどんどんPodcastを始められているんですよ。


西崎

なるほど、安田さんが15年前から可能性を感じてきたPodcastが、やっと日の目を見始めたと(笑)。

安田

そうそう(笑)。まあ、そうは言ってもマーケットとしては動画の方がはるかに大きいんですけどね。天邪鬼なので、せっかくなら小さなマーケットで勝負してやろうという(笑)。


西崎

なるほど(笑)。でも今日の話を聞いてドキッとしたんですけど、実は僕らも自社でラジオをやろうと思っているんですよ。

安田

えっ、そうなんですか?


西崎

今、オフィスの四階に写真撮影用のスタジオスペースがあるんですけど、そこをラジオブースに変えちゃおうと思っていて。まだオープンにはできないんですが、具体的なお話もあれこれ進んでいまして。

安田

いいですねぇ。ちなみに西崎さんの狙いはどこにあるんです?


西崎

もちろんいろいろありますけど、一つは信頼ですよね。やっぱり「公共電波に乗る」ってすごいことなので。

安田

ははぁ、確かに。YouTubeなら誰でもサクッとチャンネルが作れちゃいますけど、それとは違いますもんね。


西崎

ええ。僕らのYouTubeにしても、もちろん真剣に取り組んではいますけど、結局「地方のイチ社長が言っていること」でしかない。そこに権威性や信頼性を持たせるには、やっぱりラジオだと思って。

安田

確かに確かに。それに西崎さんには合っていると思いますよ。いろいろ深く考えてらっしゃるから、編集でバサバサ切られちゃう動画より、基本ノーカットで配信できるラジオの方が伝わる気がします。


西崎

ありがとうございます。スタジオが完成したら、ぜひ安田さんにもお越しいただいて、一緒に収録させてください。

安田

ああ、ぜひやりたいですね。楽しみにしています!

 


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数20万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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