この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
安田
最近、新米も出回ってきましたが、それでもまだ値段が全然下がらないですね。
鈴木
一時期よりは落ち着いたようには見えますけど、高止まりしている感じはします。
安田
ええ。いわゆる「
令和の米騒動」以前は5Kgで3,500円くらいだったのに、今じゃ5,000円台が普通ですから。
鈴木
ちなみに岐阜には『
龍の瞳』という有名な高級米があるんですけど、それは元々5,000円くらいしていましたよ。新米だともっと高いかもしれない。
安田
へぇ、そうなんですね! 値上がりする前からその値段だったと。
鈴木
そうそう。流通量が少なくて知る人ぞ知るお米で、その金額を出しても惜しくないくらい美味しいんです。
安田
へえ〜、いつか食べてみたいな。それにしても今は国中が「米はもっと安くないと!」なんて風潮ですが、私はむしろ今までの価格が安すぎたんじゃないのかなとも思っていて。
鈴木
いや、そう思いますよ。以前テレビで農家さんのインタビューを見たんだけど、「僕ら農家としては、今回の値上がりでようやく事業として成り立つようになった」って仰っていましたから。
安田
ああ、やっぱり。それが実情なんでしょうね。日本人にとって米は特別なもの、という感覚ももちろんわかるんですけど、今はそもそもあらゆるものが値上がりしているわけで。
鈴木
そうそう。時代の流れなんですから、しょうがないんですよ。それに品質や収穫時期を選ばなければ、今だってそれなりに安い価格で買うこともできるでしょ。
安田
そうなんですよ。輸入米だってたくさん流通しているわけでね。どうしても国産の新米を食べたい人だけが高いものを買えばいい。
鈴木
いや本当ですね。今後はお腹をふくらませるためのお米と、贅沢品としてのお米と、分けて考えた方がいいのかもしれない。
安田
牛肉と同じですよね。今や「和牛」といえば一大ブランドで、世界中で大人気。結果、日本人が気軽に手に取れる金額じゃなくなっているわけです。「今月は苦しいから輸入肉で我慢しよう」なんてケースはたくさんあるわけで。
鈴木
確かに確かに。結局のところ、価格は需要と供給のバランスで決まるんですよね。高くなったということは、それだけ需要が高まっているということで。
安田
ええ。だから和牛のようにお米もブランド化して、美味しい国産米をどんどん作って海外に高く売ればいい。そうしたら農家さんももっと儲かるじゃないですか。
鈴木
確かに。そういうビジョンが見えれば、米農家になりたい若者も増えるかもしれませんし。
安田
でしょ? そう考えると、お米の輸入も自由化すればいい気がするんです。その方が「国産米ブランド」が差別化できるんじゃないかなと。
鈴木
確かにね。ただ、そうなると世界中のお金持ちが買い占めちゃいませんかね(笑)。
安田
笑。だから私は政府はもっと国を上げて米の生産量のコントロールをすればいいと思っているわけなんですけど…今の流れだと、さらに「減産」の方向に舵を切ろうとしていますよね。
鈴木
僕は政府がコントロールすること自体に違和感がありますけどね。田んぼってスイッチ1つで増やしたり減らしたりできるもんじゃない。土作りから考えたら、それこそ何年もかけてようやくお米ができ上がるわけなので。
安田
そうですよね。いきなり減産しろと言われても、そんな単純な話じゃないと。だから私はやっぱり、「日本のお米のブランド化」と「輸入自由化」をセットで進めて、減産じゃなく増産していく方がいいんじゃないかと思うわけです。
鈴木
うん、いいですね。ただそれが未だに実現していないってことは…たぶんそれをやらせない「既得権」がどこかにあるんでしょうね(笑)。
安田
そうでしょうね。政治絡みの既得権がありますよ、絶対。とはいえ、本当に日本の農業の未来を考えるのであれば、もっと柔軟にやってもらいたいところですね!
対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役
株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。
