第153回 世界の借金・5京円を、リセットする?

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第153回 世界の借金・5京円を、リセットする?

安田
鈴木さん、今って世界債務がどれくらいあるかご存知ですか?

鈴木
世界債務って、世界中の政府や企業や個人が抱えている借金の総額ってことですよね? うーん、どれくらいなんやろう。全然想像もつかない(笑)。
安田
なんと、5京円ですって。

鈴木
5京…桁が大きすぎて、笑うしかないね(笑)。
安田
本当ですよね(笑)。ちなみにこの5京という数字、世界の年間GDP(国内総生産)の3倍らしくて。つまり、世界中の人が3年間、1円も使わずにタダ働きしてようやく返せる金額なんですよ。

鈴木
はぁ…そんな金額、絶対返せないじゃないですか。というかそもそも、そんな巨額のお金って一体誰が誰に借りてるんですかね?
安田
まあ結局のところ人間同士で貸し借りしているんですよね。誰かの借金は、誰かの貸金になりますから。

鈴木
あぁそうか。個人の住宅ローンや会社の借入金、国債なんかの金額を世界中で合算したのが、世界債務ですもんね。
安田
そうそう。それでね、5京円の金利が1%だとしたら、毎年500兆円になりますよね。日本の国家予算の何倍ものお金が「利息」として支払われるわけだから、お金を貸している側はすごいことになりますよね。

鈴木
で、借りている側はそんな金額をすぐに返せるわけもないから、さらにまた借金を重ねるでしょうね。となると、今は5京円の世界債務も、そのうち10京円とか20京円にまで膨れ上がるのかも。
安田
そうなんですよ! つまり借りてる側の人間は、一生「奴隷」のようにお金を返し続けなきゃいけなくなるわけです。

鈴木
構造的にはそうですね。でもビットコインのような仮想通貨もそうですけど、最近の「お金」って誰が価値をつけているのかよくわからない。
安田
そうですね。仮想通貨の「マイニング」みたいに、計算するだけでお金が増えていく仕組みも不思議ですし。一方で、そうやって日々「お金」は増え続けているのに、実体経済が成長している感じがしないんですよ。

鈴木
確かに確かに。世界的には実体経済の何百倍、何千倍っていうお金が発行されているはずなのに、世界の年間GDPは世界債務の3分の1しかないわけですもんね。とは言え、僕らからしてみたら、住宅ローンとか車のローンって、別にそこまで高いわけでもないですよね。
安田
個人レベルでは、そう言えるかもしれないですけど。世界中で合わせると、結構な金額を払っているわけですよ。しかもローンって「負担にならないような金額でちょっとずつ払える」という点がネックで…。

鈴木
あぁなるほど、そういうことか。金利は安くて、月々に返済する額もそこまで高くないけれど、30年ローンになれば総額は2倍くらい上乗せした金額を返していることになる、と。
安田
そういうことです。ローンによって「時間」は買えたけど、その分たくさんのお金を払っているわけです。そういった「甘え」とか「便利さ」が積み重なっていった結果が、5京円という数字なのかなと思うんです。

鈴木
…そう考えると、恐ろしいね。誰かが「もう返せん!」なんて言ったらどうなるのかな(笑)。
安田
私も同じことを考えていまして(笑)。お金を貸している人と借りている人の比率で言えば、確実に借りている側の人間が多いと思うんです。たぶん99.9%は借りている側の人。で、もしその人たちが一斉にデフォルトしたら…。

鈴木
世界の99.9%の人の借金が、一瞬でなくなるっていうことですか?
安田
そうそう。そうしたら一気にみんなが豊かになれると思いません?

鈴木
うーん、面白い考え方だとは思いますけど…たぶんまた誰かが借り始めて、結局同じことを繰り返すんじゃないかなと思っちゃいますね(笑)。
安田
やっぱりそうなりますかね(笑)。でもどこかでリセットしないと、生まれながらにお金を「持っている人」と「持っていない人」の差が開きすぎちゃうと思うんですよ。だから時々は世界基準規模でデフォルトをした方がいいんじゃないかという気がするんです。

鈴木
強制リセットというわけですね。100年に1回くらいのタイミングだったら、お金を貸している方も前回の「貸付金がチャラになった事実」を忘れて、また貸してくれるかもしれない(笑)。それにしても、貸す側の人間も必死ですよね。回収するための新しい法律を作ったり、どんどん複雑な複利の仕組みを考えたり…。
安田
ええ、本当に。アインシュタインが「人類最大の発明は複利だ」って言っていたそうですけど、まさにその通りですよね。

鈴木
10年後、5京円の世界債務がいったい何京円になっているのやら…。考えるのも恐ろしいですね(笑)。

対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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