今週は!
2年ぶりに健康診断なるものを受けて、「4キロ太りなさい」と言われ、当惑気味の今週末。早いもので今年ももう11月も半ばですね。
さて、このブログ。ネーミングというものをいろんな観点から考えてみようと思ってはじめたもので、特段ネーミングに関する専門知識や開発手法について書いているわけではないのですが、今回はちょっとばかしテクニカルなことについて書いてみたいと思います。
ネーミングの開発というと、「なにか新しい言葉を発明しなくちゃ」と考える人がいるかと思います。でも、それだけじゃないんだよなぁ、というお話です。
きっかけになったのが、コクヨが11月7日に発売したばかりの『PASTA』という商品。コクヨさんがパスタを?と思うかもしれませんが、この『PASTA』は食品ではなく、水性マーカーです。この商品ネーミングを見て思ったのは、もともと食品のフィールドにあった言葉(パスタ)を、まったく異なる文具のフィールドに持ってきて置いていること。言うならば「言葉のフィールドチェンジ」を行うことで、新しいネーミングとして成立させているということです。
じつは、私も、ネーミングを開発する際に、この「言葉のフィールドチェンジ」をわりとよく用いています。例えば、『ミートボール』(外部サイトへ)では、食から採用へ。『マッチバコ』(外部サイトへ)では、日用品からワーキングスペースへ。『ビートバン』(外部サイトへ)では、スポーツから起業へと、それぞれ言葉を置くフィールドをチェンジさせています。
もちろん言葉を、それまでとは異なる新しい場所に置くには、なぜそこに置くのかというネーミングの根拠となるコンセプトやストーリーが必要となります。PASTAのネーミングの背景については(この点についてコクヨさんは詳しく説明していませんが)、おそらくPastel(パステル)とPastaの言葉の類似性から発想していったのでしょう。
言葉のフィールドチェンジには、ネーミングされた言葉がすでに誰もが知っているものなので覚えやすいというメリットがあります。そして、2つのフィールドの飛び方が離れていたり、意外性があればあるほど印象は強くなります。
JR東日本が発行する『Suica』は、果物フィールドにあった西瓜を、鉄道というフィールドに置いたところに意外性があり、そこに紐づく「スイスイ通れるカード」というコンセプトも非常にわかりやすく、ネーミングとしては完璧に近い。これだけ普及している理由がわかりますね。
というわけで、ネーミングを開発する際には、新しい名前を発明するだけでなく、すでにある言葉の置き場所を変えることで十分効果的なものになるうる、というお話でした。