「オーナー社長の引退時における、退職金や株の譲渡についてどのように考えればよいのでしょうか。」との質問。前半では、退職金の「退職所得控除」について説明。じゃあ株の譲渡だったらどうなるの?というところからの後半です。(音声はこちら)
>>>大久保圭太氏のプロフィール
何と比較するかは株の譲渡の金額・・・
要するにね、あのー……今日難しいね。難しいっていうか、説明が上手く……
いやいや、ゆっくりいけば。続けてください。
株をじゃあ誰かに譲渡しますよっていうときに、一般的にはだいたい総額は決めるわけですよ、いくらって。その中で、退職金として取る部分と株として取る部分っていうのを決めるのね。要するに、退職金払った分は株価下がるじゃない?キャッシュアウトするから。そうすると、どっちが得かっていうのを試算して、株式の譲渡だと20%だから、20.315%だから、そっちと退職金で所得控除引いて2分の1した金額の税率差を考えて、どっちが得かっていうのをやるっていうのが一般的な話。
株の譲渡の場合は、利益が、今20%ぐらいって言いました?
そうそう。20.315%。
ややこしい。
まあ、20パー。
20パーぐらいってことにさせていただいて。で、譲渡なんで、オーナーの株を、息子とかじゃない場合は、たとえば社員さんとかに、引き継ぐ方とかに譲渡する?あれ??譲渡は買ってもらうってことですよね。
買ってもらうってこと。買ってもらった場合は……
あ、そうか、買ってもらった分の利益出るんで、それが所得税みたいにいかず20パーで止まるんですね。
そう。20パーで止まるから、結構株のほうが有利なんだよね。
あ~そういうことか。
退職金は退職金でもちろん有利なんだけど、たとえばさっきの非課税枠の2,200万まで使って、プラス、たぶん1,800ぐらい乗っけても2分の1になるから、900万の税率でいくから……みたいな。年数とあれで全然違うから、それを計算して……まあ、これはだから税金オジサンの話なんだけど、ただ、現実問題とすると「買えんのか?」って話だよね。
社長とされる側がね。
そう。
たしかにね。
これは理論上の話であって、何が言いたいかっていうと、退職金は会社から払われるから、借り入れとかができたり、借り入れで払うよりは、たぶん過去の積み立てだったり保険だったりするんだけど、キャッシュが入ってきたものから支払っていくから買う人にとっては影響ないというか、お金がなくなるだけだから、買う会社の。株価が下がるから買いやすいよね。
あ~なるほど。要は時価総額下がる的な話ですか?
そうそう。時価総額下がるんで。で、ご子息とか事業承継であれば、株価が下がってるときに退職金をさらにぶつけて、株価下がったときにそれまで貯めてたお金で買い取るみたいな。それ以外は贈与とか相続になっちゃうから。お金を払わないと高いじゃない?税率が。
ちょっと待ってください。
はい。
超ややこしくないですか。
(笑)
超ややこしくないですか、これ。
そうだね。
退職金でもらうお金のああだこうだの話と、株の譲渡としての税率のああだこうだの話と、それにプラスで、もらうときの積み立てた生命保険の税率のああだこうだの話が今連動してゴチャゴチャゴチャゴチャするんで、どういう状態だといちばんいいかを税金オジサンが計算してああだこうだやってると。
うん……うん……うん……そうなんだよねぇ、ここは難しいんですよ(笑)意外に難しくて。じゃあ、ごめん、だからM&Aとしようか。
え?別スキームやめてくださいね。頭飛んでっちゃいますから。
別スキームというか……まあ、いいや。だから、子どもが買える額に抑えるために退職金として会社からお金を抜いて、株価を下げて、子どもに売るっていうのはいいんじゃないのかなっていう。
なんか、小学生にわかるような言い方に変えてくださいましたけど(笑)
その子どもがお金貯めてるような状態まで長いスパンでいろいろ考えなきゃいけないよね、っていうのが、いろんなことがややこしくなるんだけど。それ以外に、子どもならまだ計画的にできるけど、社員が買うとかいうときに、第三者なら高く売ればいいから、退職金でいちばんいいところまで取って、株価高くして売っちゃえばいいと思うんだけど。
M&Aのときはそうですね。
そうそう。社員のときに買えないけど、こいつオーナーにして継がせたいっていうときは、やっぱある程度退職金で税金が譲渡よりも高くても取ってあげないとダメだよねっていうのと、もう1個、会社が株を一部買うっていうのもあるじゃない?
自己株式をその法人で買っちゃう?
そうそう。たとえば株価が1億円で、継ぐ子が5,000万しか出せないからっていって、5,000万会社で買おうかと。そうすると、オーナー社長に所得税……これ、結構みんな知らないんだけど、みなし配当っていって普通の所得税かかんの。だから最大55%取られる。
自分がオーナー会社だった会社に自分の株買ってもらったら……
マックスかかるの。
所得税がかかる?
そうそう。みなし配当って配当金課税するの。これは取れないね、なかなか。これは気をつけたほうがいい。
みなし配当……こんなにメモったのはじめてかもしれない。
税理士試験に出るよ、たぶん(笑)まあ、なので、ちょっと難しくなっちゃうけど、オーナーの出口としては、単純にいえば、税率差のことは無視すれば、退職金を取るプラス株を売却するっていう選択肢なのと、あとは、これはちょっと節税側になっちゃうかもしれないけど、5年に1回は退職金取れるから……
え?5年に1回は退職金を取れる?
えーと、ごめん、正確にいうと、5年以内にこの退職金の2分の1の……半分の課税っていうのは5年以内の役員の期間だとダメなのね。
今、日本語ですか?
(笑)えーと、さっき2分の1したでしょ?退職金って。所得税の計算の前に。それは、今まで何年でも良かったんだけど、改正が入って5年より長く役員じゃないとダメになったのね。
ほぉほぉ。じゃないと2分の1してくれない?
うん。2分の1してくれないから、あんまりメリットがないでしょ?
はい。
ってことは、5年超ならいいわけだ。そうすると、10社つくって5年ごとに退職金もらって(笑)それをやるかどうかは別だけど。あと、ごめん、それはまあ……そういう話だけど。
普通でも混乱してんのに、あえて混乱させました?
うん。もう今日は行き着くとこまでいこうかなと。
(笑)
で、かつ、会社辞めても、代取社長を辞めて取締役会長とかになって給料の半分をもらうっていうのはできるから、半分以下だったらいい。最後の給料の半分以下なら、退職金もらってももらっていいから。
会長になったら、退職金もらったあとでも今までの給与の半分はもらっていい?
もらっても一応大丈夫に今なってる。
役員報酬半分もらって?
役員報酬半分もらったり。
そういうもんですか。
そう。だから、そのへんも踏まえてライフプランを立てていくっていう。クソ難しいんだよ、だから。
専門家紹介してください。
(笑)
これはもう無理でしょ。
ざっくりね。
「退職金いくらだとどうなるかな」みたいなことは考えられると思うし。
そうかそうか、だから個人でどういうふうに退職金をもらうかって話と、持ってる株の資産を譲渡とか売却したときに、それをどう資産形成するかっていう話と、ただ、会長で残ったりしたときに役員報酬でもらえるんで、そのへんとの塩梅を上手く、しかも当時からの生保の積み立てとかもバランスしながら……
そうそう。で、そこに抜けて、退職金も取れる額が「最後の月額×年数×功績倍率」だから。
なんで今変な方程式言ったんですか!(笑)
(笑)だから、それも何年かかけて「こうやって給料あげてって……」みたいなことを考えるのが優秀な税理士さんだと思いますよ。
これ、なんですか、大久保先生の能力のひけらかしみたいな回でしたけど。くっそ!
いや、べつにみんなやってるよ(笑)
これはみんなやってるんですね。税理士の先生って、やっぱ先生ですね。
すごいですね。
すごい!
やってるよ。だから、みなさん顧問税理士にちゃんと聞いたらいいと思うよ。
これ、でも、みなさん税理士の先生は知ってるんですね。
知ってるよ。プランニングするかどうかはともかく、制度と税率は知ってるよ。
いや、これ、制度が重要じゃなくて、それを踏まえてプランニングしてくれないと何の意味もないじゃないですか。
なんで、日本って海外みたいにライフプランナーっていうんですか……
フィナンシャルアドバイザー?
フィナンシャルアドバイザーか。いるじゃないですか。なんであれなんですかね。
国が儲かんないからじゃない?(笑)
これ、すごいやってほしいですね。フィナンシャルアドバイザー。
税金徴収オジサンだけいりゃ十分なんでしょ、国からしたら。
いやいや、これはちょっと、今度また。
ちょっとまた違う角度で分解したほうがいいかもね。
そうですね。
全体像っていうか……全体像でもないけどな。
今はでも逆に全体像を見せてもらったから混乱したんですよね。
でも、まだこれも部分だからね(笑)もう、ね、混乱を招いた……
勉強になりました!またこの回答を聞いて質問お待ちしております。ありがとうございましたー!
はい。税金オジサンでした(笑)